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「キャラゲーに名作なし」は過去のモノになった? バットマンアーカムシリーズレビュー

 かつてのゲーム好きな子供たちの間では「キャラゲーに名作なし」という言葉が、さも真実であるかのように流布されていたことがあります。ファミコンブームで沸き上がるゲーム業界では、「あの人気作の版権取ってきたからなんか適当につくれ!」と現場に押し付け、コンセプトもゲームバランスもどこかにいってしまった作品が(どれとは言いませんが)現れ、子どもたちを絶望に突き落としたのです(どれとは言いませんが)。その中でもキラリと光る出来栄えがいいキャラゲーもあったわけですが、どうも中には「もともと別のオリジナルゲームキャラで成り立たせるはずだったものの、タイミングよくキャラゲーの仕事が舞い込んできたので、キャラのガワだけ入れ替えてつくった」なんてものもあったそうです(どれとは言いませんが)。

 さて、時代を進めてPS2時代あたりのゲーム事情を振り返ってみると……「キャラゲーに名作なし」に引っかからないキャラゲーがどんどん出てきたと思いませんか? ガンダムがアニメのままの動きで動いて格闘ゲームしてる!?」と衝撃を受けたガンダムvsシリーズ。とんでもないキャラ数と必殺技は原作再現そのまんまで収録されているドラゴンボールZ Sparking!シリーズ。ま、まあこの時代でもアレめな出来栄えのゲーム(どれとは言いませんが)があったわけですが、「どうしようもない駄目」なゲームもまた、少なくなっていった気がします。
 
 私の勝手な想像なのですが、今のキャラゲーを作っている人たちが、そもそも若いうちからゲームに親しんでおり、かつアニメや漫画、映画でがっつりとサブカルチャーを楽しんでいるために「いかにして原作をゲームに落とし込むか」という点への意識が高いからなのではないでしょうか? 先に上げたガンダムvsシリーズの「連邦vsジオン」でも、ガンダムとジムでは性能差がありすぎるため普通の格闘ゲームとして再現できない点を「コスト性」という発明で乗り切りました。ジムは量産機なので何機やられても平気だけど、ガンダムは痛手になる、というのは十分に原作再現で、かつゲームを盛り上げる要素として成立しています。


 今回のゲームレビューは「原作愛満載の奴らが作ったキャラゲーシリーズ」の中でもトップクラスに位置するだろうバットマンアーカムシリーズ」です。
 バットマンアーカムシリーズとは、有名アメコミキャラバットマンを主役とした3Dオープンフィールドアクションゲームです。現在まで四作出ており、ストーリーもそれぞれ連続してはいますが、どこからプレイしても問題ありません。なにせあまりに原作愛溢れすぎているためキャラ一人一人の説明が綿密に用意されていて、それを読むだけでも時間が潰せますし、キャラ把握が可能です。私は映画のバットマンシリーズしか見たことがないにわかなのですが、このアーカムシリーズは楽しめながら進むことができました。演出も丁寧で「ああ、このキャラはこういう奴なのね」というのがするする頭に入ってきます。あとだいたい共通してバットマンの命を狙っているということ。

 このシリーズの醍醐味はそのアクション性。攻撃、マント、回避、カウンターの4つの操作をぺちぺちと状況にあわせて押すだけで、バットマンがカッコよく敵をぶちのめしてくれます! 敵が殴りかかってくるとその敵キャラの上に冠マークがつくのですが、それが合図。カウンターボタンを押すとバットマンが敵の腕を掴んで反転させ後頭部に一撃決めます。二人攻めて来た場合は、カウンターボタンを二回押しましょう。バットマンが二人の敵の頭を掴んでごっつんこします。スタンスティック持っている敵がいる? その場合は回避ボタンで敵の背中側から攻撃しましょう。シールド持ち? 回避ボタン連打してジャップキックでシールドごと撃ち抜きましょう。ボディアーマー着てる敵? そんな奴はマントで翻弄したあと攻撃ボタン連打のラッシュでボディアーマー越しにダメージを与え続けてノックアウトです!

 銃を持ってきた敵がいた場合、バットラングを投げつけて銃を落とさせてもいいし、バットクローで掴まえてバランスを崩させてもよい。後期のシリーズならば撹乱器を使うことで相手の銃を発射不能に追い込むこともできたりするのです(使用制限はありますが)。そもそも相手に見つかっていない状態なら背後から忍び寄って音もなく相手をノックアウトするサイレント・テイクダウンを発動させることができ、これがまた必殺仕事人的アクションを決めてくれるバットマンがボタンひとつで見れて格好いいのです。
 そんなバットマンに対する愛が惜しげもなく注ぎ込まれた「アーカムシリーズ」。その最初の作品は「バットマン アーカムアサイラム」です。

バットマン アーカムアサイラム

 「壮大なバットマンごっこ遊び」と称されるようになった初作品。舞台はアーカム精神病院という囚人を収容する大型施設。そこでジョーカーが暗躍し囚人たちを逃してしまい反乱が。バットマンは果たしてこの危機を乗り越えることができるのか、というストーリー。上記にあげたアクション要素のほとんどがこの初作で完成しており、また激しいアクションの合間にはバットマンが静かに建物のなかに侵入し、相手の監視をくぐり抜けるというステルスアクション要素が入っています。3Dアクションと思わせ唐突に2Dスクロール風アクションになってみせたりと、多彩な面を見せてくれます。後期シリーズと比較するとどことなく天井が低くオープンワールド感がいまいちなところもなくはないのですが、今プレイしても十分楽しめるアクションゲームです。オススメ。

バットマン アーカム・シティ

 アサイラムの正当な続編です。ゴッサムシティのスラム街を隔壁で閉鎖して、そこをすべて収容所としてしまう計画が進行しており、ブルース・ウェインはそれに反対していたものの、なんと冤罪で逮捕されてしまいアーカム・シティの中へと連れ込まれてしまう…というもの。しばらくはバットマンとしてではなく、ブルース・ウェインとして操作しなければならなかったり、おなじみのジョーカー、ペンギン、トゥーフェイスミスター・フリーズといったヴィランがガンガン出てきたりとファンアイテムとして非常に豪華な出来栄え。そしてバットマンへの愛情が狂ったように注ぎ込まれており、バットマンは物語が進むに連れ徐々にスーツやマントがぼろぼろになっていき、無精ひげが伸びていきます。
 大型精神病院から舞台をスラム街へと移したため、縦への移動が広く行えるようになり、かつグラップネルブーストスキルを獲得すれば異様なスピードで飛行することが可能です。ビルとビルの合間をワイヤーを使ってしゅんしゅんと飛び回り、無線を傍受して悪人が暴れる犯行現場に急行。空から急降下キックで犯人を吹き飛ばす……こんな映画のワンカットのようなシチュエーションを自分がバットマンを操って見ることが可能です。
 収集要素であるリドラートロフィーがあまりに意地悪なところに隠されていてムカっとすることがありますが、メインストーリーやサブストーリーにストレス要素はなくサクサクと進めて楽しむことが出来ます。さらにはおまけとしてキャットウーマンが操作できるDLCも存在します。
 ストーリーはアサイラムからの続きではありますが、状況説明や敵ヴィランの説明が非常に豊富であるため、今作からプレイしても支障はありません(現に私は今作からプレイをはじめました)。今はアサイラムと含めたリマスター版がPS4で販売されております。買うならこっちをオススメします。(なお、Steam版では日本語化することができませんので注意してください。アサイラムの方には日本語Modが存在します)

バットマン アーカム・ビギンズ

 アーカムシリーズではありますがストーリーはアサイラムの前、いわゆる前日譚となります。謎の敵、ブラックマスクからバットマンが懸賞金をかけられてしまい、多数のヴィランバットマンの命を狙い来る…というもの。前日譚であるため警察はまだバットマンを敵視しており、事件を追っていきながら彼らとの信頼を築いていく話でもあります。システム的には前作アーカム・シティを踏襲していますが、いわゆるファストトラベルや、犯行現場の証拠を集めて時間を巻き戻し事件を再現するモードが追加されたりしました。進化した方向性はゲームの面白さとは直接つながらない、あくまで演出面の強化であるのですが、これは前作アーカム・シティがいかに完成されていたかの証左であるといえます。前作同様犯行現場に急行し強襲をしかけることができますし、持っているガジェットを駆使して悪人の攻撃を逸し、撃退することが可能です。ガジェットはさらに追加され、それにあわせるように敵の種類が増え強化されました。前作をプレイしたプレイヤーにはちょうどよい歯ごたえになっておりますが、今作からプレイする人向けにイージーモードもあります。
 とてもオススメできる作品ではありますが、この作品だけはまだリマスターされておらず、WiiUPS3Xbox360の前世代機のみの発売となっております。そのためSteam版をオススメします。日本語化はされていないことになっていますが、ちょっといじるだけでちゃんと日本語字幕が付きます。つまり公式に用意されているのになぜかないことになっているわけですが……? そこらの事情はわかりませんが、マシンパワーも今ではさほど必要ではないので(CPUはCore2DuoGPUはGeForce8800でもOK)、もしプレイしたい場合はSteam版をどうぞ。
 ただしこのゲーム、すでにオンライン稼働を終了しており、オンライン周りのトロフィー・実績を解除することができませんのでご注意を。

バットマン アーカム・ナイト

 アーカムシリーズの最終作(今の所)。実はアーカム・シティにて衝撃の最後を迎えるのですが(アーカム・ビギンズが前日譚なのは、素直にシティの続きを描くのが困難だったからでは? と考えてます)、そこからの展開を描いた作品です。新たな謎の敵、今までのヴィランの再登場というもはやおなじみの展開になるわけですが、アーカムナイトはゲームを根幹から揺らす新要素を入れました。そう、「バットモービル」です! これにより広いゴッサムシティを全力疾走でき、悪人もミサイルで吹き飛ばすことができます! 被害が心配? ゴッサムシティには悪人しかいないので全力で暴れて問題はありません! 公園を駆け抜け柱をなぎ倒し目標とした車へ最短距離を突き進みましょう! グラフィックの書き込み具合も驚異的なレベルです。バットモービルが走れば火花がちり砂煙が上がり、バットマンが雨の中舞えば飛沫が飛び、照明の当たり具合でバットスーツがテカると、様々なレベルで高水準に到っています。

 戦闘システムはシリーズおなじみのモノを踏襲し、ボタンを組み合わせてバットマンガンガン戦うのを見ることが出来ますし、敵の目をかいくぐって潜入し一人づつ音も無く始末していくこともできます。シリーズをやってきたプレイヤーならばほとんどチュートリアルすっ飛ばしてプレイに入ることができます。
 そんなバットマンアーカムシリーズ最新作なのですが……実は私は唯一、このゲームを途中で辞めました。なぜか?
 追加要素であるバットモービルなのですが、これが実は快適なゲームプレイを妨げる要因になってしまいました。壁を破壊する、戦車を打ち砕く、そんな状況打破にバットモービルが必要になるのですが、これの頻度があまりに高すぎるのです。「如何にバットモービルをギミック打破の場所につれていくか?」がむしろ主軸となってしまい、バットマンが自身の能力で状況打開するのとはまた方向性が違ってしまいました。ことあることにバットモービルです。

 また今までおなじみの戦闘システムなのですが、唯一今までのシリーズにはなかった新要素が追加されました。されてしまいました。それは「ディレイつきオートカメラ」です。今までのシリーズもバットマンの動きにあわせて勝手にカメラが動くのですが、これが今作特有の調整が入った結果最悪の働きをするようになりました。このシリーズのアクションは方向キーと攻撃ボタンを組み合わせることで「どちらの方向にいる敵に殴りかかるか」を決めることができるのですが、それとずれるオートカメラが組み合わさることによりバットマンが全然違う方向の敵を殴るようになってくれました。しかもカメラ、プレイヤーの心理の裏をかくように絶妙な動きをします。そして全然違う方向に殴りにいったバットマンは、カメラの死角にいる敵に攻撃されてよろめきます。敵が十人以上いるような大所帯との戦いの場合、当然カメラワークがガンガン揺れるので視覚外の敵が大勢発生するので、こういう事故が多発し、最終的にバットマンはやられます。ゲームオーバーになるとヴィランからけなされ長いロードが入ります(これはシリーズ恒例ではありますが)。これを何回も何回も何回も何回も何回も繰り返す羽目になります。やる気が削れるのがわかりますでしょうか?

 今までのアーカムシリーズは経験値システムを導入しており、悪人を倒したり(華麗に倒すことで倍率ドン!)、隠されていたデータを見つけることでレベルアップし、新たなスキルをアンロックするのですが、今作は特定の指定ミッションをクリアすることでのアンロックとなっております。つまり街にいる悪人をいくら蹴散らそうが経験値にはなりません(バットモービルで轢くことで簡単に倒せるので仕方ないですが)。それはいいのですが、その指定ミッションが単純に面白くないという有様。バットモービルでカーチェイスして相手の車をミサイルで吹き飛ばす、というのは一見面白そうではありますが、実際は「バットモービルと同速で走る車の後ろをはりついてロックオンするまで待ち構えるのを何回も繰り返す」になってしまっていますし(バットモービルのミサイルを喰らって走り続ける車とは……?)、街にある地雷除去をするために戦車部隊を排除もバットモービルの操作感の悪さもあって爽快感が今ひとつありません。シリーズでお馴染みのコンバットやステルス戦もあるにはありますが、前述したカメラワークの悪さもあり「これを延々と続けていたい!」という気持ちにはさせてくれませんでした。

 アーカム・ナイトは高水準なゲームではあると思います。グラフィックの書き込みは凄いし、相変わらずのバットマンのアクションの切れの良さと、トンネルの天井をバットモービルが全力疾走する様はまさしく映画同等の演出です。しかし実際のゲームプレイ、ゲームデザインには心に引っかかるところがとにかく多く、小さなストレスが溜まる仕様になっていると評価せざるを得ません。ここを乗り越える事ができる人は最高のゲーム体験ができることでしょう。私には出来ませんでした。そういうものがあるのだ、と覚悟された方はプレイしてみて、実際に確認してみてください。日本ではPS4と、Steam版が発売されています。Steam版は日本語完全対応です。


 以上でバットマン アーカムシリーズのレビューを終わります。最後がちょっと「キャラゲーに名作なし」っぽくなった? 何をいっているんですか。8bit時代はそんなに甘くなかったですよ??