平和的なブログ

ゲームのことばっかり話してます。たまに映画とか。

QTEなんて大ッ嫌い -The Wonderful 101というゲーム-

 世の中に「ゲームにおいて嫌われる要素」というものがあります。
 私独自の綿密な調査(母数1)によりますと、嫌われる三大要素として「途中でパーティを離脱するコアメンバー」「課金ガチャ」そして「クイックタイムイベント(以下QTE)」が挙げられます。

 QTEとは今ではかなり定義をつけるのが困難になっていますが、ざっくりいうなれば「画面に表示されたボタンをタイミングよく押すことで、その後のゲームの展開が左右される技法」というものです。バイオハザード4では大岩が転がってくるのをボタン連打で走って逃げて、その後のタイミングでトリガーを押すことで避けていきました。敵が斧を持って振りかぶってきた時、トリガーを押すことでタイミングよくかかっていた手錠をその斧で破壊させて脱出成功となります。……このあたりは、まだギリギリ演出としてよかったのですが、物語後半、因縁のライバルとナイフ対決をしたとき、長々と言い合いをしながら主人公とライバルはナイフで攻撃し合います。そのたびにトリガーやボタンを押しあうことになります。ミスったら即ゲームオーバー。最初からやり直しです。私は多分五回くらいやり直したと思うんですが、ボタン操作に集中していたため、主人公とライバルが何を話していたかさっぱりわからないままです。本末転倒過ぎませんか?


 そうやってボタン連打をしていると、私が学生時代、スーパーファミコンで「スラムダンク From TV animation 四強激突!! 」というゲームがあったことを思い出します。名作漫画SLAM DUNKのゲーム版です。このゲーム、シュートが外れるとリバウンドの取り合いになるんですが、それの成否がボタン連打なんですよ。漫画内で「リバウンドを制するものはゲームを制する」というセリフが出てきたように、リバウンドはかなり重要な要素なんです。つまりゲーム中連打しっぱなし。おそらくこのゲームを作ったスタッフの中に、スーパーファミコンのコントローラーを破壊するように企む秘密結社の一員がいたのだと睨んでいます。


 話が逸れました。今のゲームにはQTEがたくさん仕込んであります。でもそれが果たして効果的に使われている例が果たしてどれだけあるでしょうか? プレイヤーがボタンを連打して、それに楽しさを感じることがあるのでしょうか? プレイヤーはボタン連打が好きなのでしょうか?
 そんな疑問に真正面から立ち向かい、「めちゃくちゃ楽しいQTE」に仕上げたソフトを紹介します。2013年、WiiUにて発売されたThe Wonderful 101です!

 
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 このゲームは見下ろし型アクションゲーム。主人公は地球を守る秘密組織「ワンダフル・ワンダブルオー」の一員。地球に襲来した強大な侵略組織「ゲスジャーク」の魔の手から地球を守るべく、世界各地に散らばった99人の仲間とともに立ち向かえ! というもの。

 PVやニンテンドーダイレクトを見ていただければ詳細はわかるのですが、このゲームの操作方法はWiiUゲームパッドを活用した、とても独特なものです。ゲームパッド上の画面に円をかけば、ユナイトハンドという格闘武器に切り替わり、直線を描けばユナイトソードという連続攻撃可能な剣に切り替わる。その他直角、曲線、ハンマー、W字、丸にちょん、といった図形を書くことで攻撃方法を切り替えて、その場所、その敵に応じたものを瞬時に出す、ということが可能になっています。

 その上この操作は武器切り替えのみに使われるのではなく、壊れたものの修復や、遠くに飛ぶためのパラグライダーへの変形、救助をもとめる一般市民を助けるために囲ったりと、ゲームパッドを活用しつくしています(右スティックでも代用可能ですが)。

 「そんな独特な操作方法をしているゲームでなんでQTEが必要なんだ?」と思われるかもしれませんが、このゲームはQTEにおける問題解決を見事に提示しています。なぜボタンを連打しなければならないのか? それは目の前に飛んできている瓦礫があるからです。

 このままじゃ瓦礫があたってしまう! 主人公が叫ぶ! 「ワンダパンチ!」 ボタン連打で瓦礫にパンチを繰り出して破壊するのだ! 瓦礫が次々に落ちてくる! その空上に敵が飛んでいるのが見えた! 主人公が叫ぶ! 「ワンダジャンプ!」 Bボタンをタイミングよく押しまくり、瓦礫の間をジャンプし続けて敵の懐に飛び込め! 

 そうです、このゲーム、ヒーローもののアクションゲームなので、とにかく主人公が叫ぶんです。それに合わせてこちらがボタンを押すと、それに応じたリアクションを主人公らヒーローが格好良く決めてくれる。こちらの操作がダイレクトに主人公へ伝わった感覚がとてつもないんですね! このゲームはQTEというものを、「画面の中の主人公と、プレイヤーである自分との距離をぐっと詰める手法」として活用しているんです。

 ボタン連打をすれば、その分主人公たちがパンチを叩き込む。タイミングよくボタンをおせば、敵の攻撃を華麗にかわす。もし失敗してしまったら……攻撃を受けてダメージをちょこっと受けてしまう。成功したときの報酬を強く、失敗した場合のペナルティは控えめにして、ストレスを少なく仕立ててあります。0.1秒のタイミングでシビアに瞬間的に判断する必要はありません。

 独特の操作方法とQTEだけにこのゲームはとどまりません。敵の巨大ロボが襲いかかってきたら、それを奪って反撃! 敵はもっとでかいロボットを繰り出してきますが、その戦いはまるでパンチアウト! 敵の攻撃をダッキングで避け、全身を伸ばしてアッパーカットを決めるのです!

 こちらの秘密兵器、プラチナロボが出撃するとそのゲームの動きはまるでスペースハリアースターフォックスのような3DSTG! ホーミングミサイルとハイパワーレーザーで敵をロックオン+デストロイしていきましょう!

 そんな見覚えのあるミニゲームをやりこみながら背後で展開されるストーリーは、重厚以外の何者でもありません。果たして「デスジャーク」の目的とは? その強大すぎる力の根源はなんなのか? そして最後の最後、彼らに勝利出来た理由は……。涙なしでは見ることが出来ない代物です。そしてそのストーリーの終盤、地球の命運を分ける最後のバトル。その方法は……そう! ボ タ ン 連 打 です。一心不乱にボタンを連打するのです! 画面の向こうの主人公たちも皆一生懸命ボタン連打をしています! ここで完全に主人公とプレイヤーの境界は消えてなくなります。PVの最後に「百一人目のヒーローは、君だ」という言葉がありますが、まさしくそういうことです。画面の前にいる貴方はワンダフルワンダブルオー、百一人目の隊員なのです。
 
 さて、ここまで読んでくれた貴方に質問があります。ボタン連打は好きですか? 私は大好きです。