平和的なブログ

ゲームのことばっかり話してます。たまに映画とか。

復活したゲームに魂はあったか? 魂斗羅ローグコープス

…11/5 追記あり

 

魂斗羅”とは熱き斗魂を生まれながらに持ったゲリラ戦術の達人に与えられる呼名である

 

 令和元年、突如としてそのゲームは復活した。

 その名は魂斗羅。昭和に誕生し平成を駆け抜いたアクションゲームシリーズである。

 長らく休眠状態にあったこのシリーズがいきなりの復活を遂げたが、その出来栄えは、スカイリムやゼルダbotwといった歴史に残る名作と比較したら……とても比較できるようなものではなかった。

 それでは駄作であったか? いや、そうではない。このゲームには駄作の2文字で済ませられるようなものではない美点が確かにあるのだ。

 では凡作か? いや違う。このゲームは、いうなればプレイヤーを振り回し騎手不在状態でゴールにぶっちぎりで走り抜けた暴れ馬のような困った存在だ。

 

 

 ゲームシステムを解説していこう。このゲームは見下ろし視点型アクションゲーム。右スティックで移動、左スティックでエイム、トリガーで射撃といえば概ね伝わるはずだ。

 素直なゲームシステムではあるが、ゲームを始めるとプレイヤーを振り落とすような仕様が待ち構えている。やたら硬い敵に豆鉄砲のように錯覚するほど攻撃力の低い銃。令和に入ったというのに恐ろしく解像度の低い画面。絶妙な動きで敵を存分にバックアップしてくれるカメラワーク。そして魂斗羅という銃をバリバリ撃ってなんぼのゲームシリーズでありながらも実装されている「オーバーヒート」という要素。すぐにオーバーヒートする豆鉄砲を手に無数に湧き出てくる敵をなんとかして倒さねばならないが、おそらくここで半分のプレイヤーは落馬することだろう。競馬でいえばスタート直後だ。いくらなんでも早すぎる。

 歯を食いしばって苦痛なミッション1-1をクリアすると(恐ろしいことにここはチュートリアルだ)、武器に取り付けるMADチップと肉体改造用の臓器、そして少量の金が手に入る。

 

 2020-02-11 追記:昨年末アップデートがありオーバーヒート後の復帰時間の緩和、および最初期のステータスに補正がかかったためこのような苦難は軽減されています。

 

 とりあえずオーバーヒートを速く改善してくれる放熱板か、オーバーヒートにしにくくなるバッテリーでもつけてみよう。両方あるなら両方つけてもいい。強化臓器も付け替えだ。

 そして次のミッション1-2へいくと、手応えが違ってくるのに気がつくはず。銃が強いのだ。そう、銃にも経験値が存在し、レベルアップすることで性能が若干上昇する。それと先ほどつけたMADチップと重なって、豆鉄砲はエアガンくらいに進化したのだ

 

 バリバリ撃てるようになり、ダッヂで敵の攻撃を回避するようになり、ラグにも慣れたプレイヤーのスキルが上昇してくると(恐ろしいことにこのゲーム、オフラインシングルでも自覚できるほど操作ラグがある! 10f以上だ!)、今度は武器のコアチップを拾うことだろう。コアチップはそれぞれ対応したMADチップと少量の金を足すことで武器を精製できる。その武器はマシンガンの他にもミニガンだったりチェーンソーであったりタレットであったり地雷バラマキ装置であったりと多種多様だ。(11月1日のアップロードでさらに増えた)

 

 2020-02-11 追記:昨年末のアップデートにより自覚できるほどの操作ラグはなくなりました

 

 新しい武器に変え新しいステージに向かうプレイヤー。そのクリア報酬は大量のMADチップと武器のコアチップだ。MADチップも多種多様である上、レア度とレベルがあるため一つで済むわけはない。より高いレベルのMADチップを求めて同じステージを周回するのだ。さあ! 掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘りまくるのだ。

 そうして武器のレベルが5以上になると、武器のランクを上げるアップグレードが出来るようになる。MADチップと金銭を足すことで同じ武器で有りながら攻撃力を飛躍的に高めることが出来るのだ。レベルは1に戻ってしまうが、全体の性能は上がるので問題ない。問題ないのだが、とにかく金がかかるのだ。

 

 一回の探索で貰えるのは僅か1000G。アップグレードには低ランク品でも2万G。Sランクだと15万G以上が必要になる。

 

 こうなると金策のために掘りすすむ必要になるかと思うが、安心して欲しい。君の手元には不要な武器コアチップと、大量のMADチップがあるはずだ。これで武器を精製し、それを売ると一万Gほど手に入る。

 

 つまりこのゲームは不要なMADチップを武器に精製して金に換え、その金でお気に入り武器をアップグレードするゲームなのだ。拾ったハズレのMADチップも無駄にはならない。きちんと消化する流れが出来るのだ。さあ、掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘りまくるのだ。掘りまくる中できっと高レベルのMADチップを手に入れることが出来るだろう。それに付け替えることでより効率的に敵をなぎ倒すことが出来るようになる。武器精製に混ぜれば最初から高レベルな武器ができあがる。

 見覚えのあるステージと、色違いの敵を倒しつつミッションを制覇していくと、最初に感じていた不満感が感じなくなっていくことに気がつくだろう。このゲーム恐ろしく画質が悪い反面、びっくりするほどロード時間が短い。サクサク画面が切り替わり、何回掘り進んでもいける。超強化されたミニガンで無数に湧き出てくる敵を一斉になぎ払うのは快感としか言いようがない。同じミッションを繰り返しやり直すのが楽しいのだ。もはや豆鉄砲やエアガンを振り回していた頃はおさらばだ。君の手の中には今正真正銘魂斗羅が扱うマシンガンが握りしめられている。

 

 

 「バリバリでてくる敵をバリバリ撃つのは楽しい」という至極当たり前の話を、このゲームはプレイヤーに体験させられることに成功している。失敗しているのはプレイヤーを置いてけぼりにしているのだ。上で解説したような武器を精製して金に換えるテクニックは一切紹介されない。さらにはシングルプレイで進めてもポーズ機能というものがない。Switchのホームボタンを押したとしてもゲーム内時間は進んでいるため敵に殴られ続ける。魂斗羅になるためにはポーズ機能という軟弱な救済措置は必要ないのだ

 

 そして最大の長所であり欠点であるところはオンラインコープだ。このゲームはオンラインにより最大仲間四人で同じミッションに向かうことができる。プレイヤー一人では単なる火だが、二人集まれば炎となる。炎となった魂斗羅たちは無敵であり、四人集まった場合は画面が弾丸で埋め尽くされプレイヤーが訳分からないうちに敵は殲滅されて戦場は焼け野原だ。その時のテンションの上がり具合は形容しがたい。

 欠点は四人集まることがほとんど無いことだ。マッチングシステムにも問題あり、2分待機したら即一人でミッション開始だ。魂斗羅はせっかちさんなのだ。おかげで過疎のこのゲームでマッチングするのは困難だ。

 

 ここまで読んでもしかしたら「ちょっとやってみようかな?」と思った人がいるかもしれない。頼むから体験版には手を出さないでいてほしい。このゲームの体験版はもっともゲーム内で苦痛な部分だけが収録されている。しかも頑張ってそれを乗り越えてもセーブデータ引き継ぎは出来ない。製品版を購入してもまた最初からやり直し苦痛のステージ1が始まるのだ。これほど計算されつくした公式のセルフネガティブキャンペーンがあっただろうか?

 今ならゲオで半額以下で購入することが出来る。小売価格は5000円なのでそもそも高くないのだが、それでも売れていないことが丸わかりだ。体験版を見れば仕方ないことではあるが。

 

 ちなみに私は小売価格そのままでダウンロード版を買いシーズンパスも購入済みで同時期に購入したデモンエクスマキナよりも長くこのゲームをプレイしている。何故だ。何故なんだ。プレイヤーを振り落とそうとする暴れ馬に必死になってしがみついている間に、私も魂斗羅になれたということなのだろうか。

 この令和という時代に、これほどプレイヤーに不親切でおいてけぼりにするゲームは久しぶりだった。そんなゲームに立ち向かっているうちに魅了されてしまったのかもしれない。これほど雑で、低予算で、画面が汚く、全然マッチングしないのに、面白いゲームに出会えたことは幸運であったのかもしれない。

 

 

11/5 追記

 本日11/5、アップデートがなされた。その内容はゲームバランスの調整と、内部解像度の向上だった。ゲームバランスのほとんどは熟練プレイヤーの不満点を潰す素晴らしい内容である(取ると弱くなるスペシャル武器や、緊急回避にしかつかえないボムの攻撃力アップなどは素晴らしい)。なお、シングルプレイでのラグの低減も今後のアップデート予定に組み込まれたとのこと。

 過疎マッチングに手が入らないのは残念ではあるが、コナミの対応は十分に評価に値する。まだすべての不満点がなくなったわけではないが、ここは素直にコナミへ感謝したい。

 

2020-02-11 追記

本文中の追記のとおり、アップデートにより「オーバーヒートの緩和、最初期のステータスに補正、ラグの解消、解像度向上(Switch版のみ)」がされており、現在の状況に合わないレビューになっていることを留意されたし。