平和的なブログ

ゲームのことばっかり話してます。たまに映画とか。

リブートの名にふさわしい内容であったか? 超昂天使エスカレイヤーR

 リブート。いい言葉だ。
 バットマン・ビギンズは素晴らしい映画だし、ロボコップ2014年度版もいろいろ世知辛い世の中を描写していて楽しかった。ターミーネーター新起動は……まぁ現在シュワちゃんvs過去シュワちゃんを見れただけで価値があるかもしれない。

 リブートは映画だけの話ではない。もちろんゲームにもある。今回の記事は「超昂天使エスカレイヤー:リブート」。正真正銘のエロゲーである。そのためそういう内容なお嫌な方はここで読むのを中止していただきたい。




 2014年に発売されたエスカレイヤーリブート(以後Rと表記)は、2002年に発売された超昂天使エスカレイヤーのリブート作である。戦闘システムに手を加え、CGを高解像度へと新たに書き換え、新規シナリオを追加し敵キャラクターも増やしたものだ。なるほど、こうして並べると「リブート」の言葉にふさわしい内容かと思える。


 エスカレイヤーRについて言及する前に、まず2002年に発売された原作の「超昂天使エスカレイヤー」について解説を行おう。


 この作品、いわゆる「戦うヒロインがエッチな目にあうエロゲー金字塔だ。
 「ヒロインものエロゲーを初めて実装した作品ではない。それ以前でも「流聖天使プリマヴェール」というヒロイン調教を題材としたゲームは存在する。エスカレイヤーが先進的だったのは、ヒロイン、エスカレイヤーが「ドキドキダイナモという性的興奮をエネルギーに変換する機関を備えているという設定だ。そのため主人公はヒロインとあの手この手でエッチなことをしてエネルギーを貯める。それによってパラメータを上昇させ、地球侵略を目論む怪人軍団と戦う。勝利をすれば次のストーリーにつながるが、敗北してしまうとエスカレイヤーは敵怪人に陵辱される。その際、当然エネルギーを獲得できるのだ。
 敗北しても強くなってリベンジに向かうヒロイン。プレイヤーとしては進めないストレスを、パラメータ上昇とエッチシーンを見ることで相殺するどころか黒字になるように作られている。(ただし怪人に負け続けると心が折れてゲームオーバーになってしまうが)
 

 エロゲー界による「如何にしてゲームシステムに戦うヒロインとエロを密着させるか?」という難題に対して、見事な答えを返したのだ。主人公とエスカレイヤーが体を重ねる必然性を作り、怪人に陵辱される描写をつけたし、それによる能力強化の理由付けまでやってのけたのは、満点の答案用紙であるといって過言ではない。


 
 その原作エスカレイヤーが2002年、リブート版は2014年。12年の歳月を得て復活したエスカレイヤーRは果たしてどうだったか?


 大幅に手が加えられたのは戦闘システムだ。原作がほぼオートバトルで終わっていたのに対し、Rではいろいろと手を加えられた。エネルギーを戦闘スキルに変更することができ、各種スキルを装着し戦闘に向かう。得たエネルギーをパラメータの上昇か、スキルの割り振りに使うかで戦略性が発生することにはなっている。
 そのスキルを使うためにはルーレットを回す必要がある。
 ルーレットは各ターン1回周り、5つセットしたスキルのどれかに充当する。簡単なスキルならば一つ充当しただけで使用可能になるが、強力なスキルの場合3つ充当させないと使用可能にはならない。つまり強力なスキルばかりをセットしただけではなかなかスキルが使えなくなり、簡単なスキルばかりだと火力が足りないことになる。


 最大の問題点。いったいこのシステムのどこにエロさがあるんだ? ただ怪人との戦闘がわかりにくく、煩わしいものになっただけなのだ。
 いや、別にエロさがなくてもゲーム的に面白いのならば問題はない。問題はないのだが、2014年の時点でルーレットを回して楽しさを覚えるゲームデザインはむしろ斬新すぎる。ルーレットの目押しを楽しいと思うには、私は年を取りすぎてしまっていた。戦略性が向上した、という表現は聞こえがいいが、この戦闘システムはいわば「蛇足」以外のなにものでもない。ゲームデザイン的に面白くもなれずに、エロ要素に結びつけることもできないのなら、前作同様オートバトルで構わなかったのではないか?


 原作エスカレイヤーは素晴らしい作品だった。しかしドラゴンクエスト1が如何に素晴らしい作品であろうが、そのまま現代に持ってきて懐かしさを取っ払った場合ただただ「よくわからない」「さすがに古臭い」といった評価を受けてしまうのと同じように、骨子をそのまま持ってきたこのエスカレイヤーRは「さすがに古臭い」という評価を受けることを否めない。
 残念なことに、「リブート」というには力不足だった。確かにシナリオは追加された、敵キャラは増えた、CGは高解像度化された。ただ、それだけだ。それなら「リマスター」なり「追加版」なりのほうがよほどふさわしいように思える。


 12年という長い年月においてゲームとしてなにかしらの進化をすることができなかった…と表現すると、なかなか寒いものがある。エロゲーなのだからエロ描写がしっかりしていればいい、という見方もあるかもしれない。かつて「ドキドキダイナモ」という発明で問題を潰したように、リブートと銘打った今作においてもなにか一つ大きな変化を期待したが、それはなされなかった。それはとても残念なことだと、ここに感想として記す。