平和的なブログ

ゲームのことばっかり話してます。たまに映画とか。

ウルトラマン・ニュージェネレーションシリーズレビュー

ウルトラマン」というコンテンツが世に現れて、50年以上が過ぎました。未だに新作が作られ、私たちに提供されているということは非常に喜ばしいことです。きっと息子氏が大人になった頃でも、新作ウルトラマンは作られ続けていることでしょう。
 今回のブログ記事は「なんとなくウルトラマンに興味はなくはないんだけど、何から見たらいいのかわからない人向けに紹介する、という体で、現行のウルトラマンシリーズのレビューを行う」という内容です。内容に踏み込むため、「ネタバレ」にはあまり配慮を行っておりません。お含み起きくださいませ。それではさっそく行ってみましょう!

ウルトラマンギンガ

 6年ぶりの地上波復活となった新作ウルトラマンですが、びっくりするほどチャチです。なんせメインの舞台は学校で、主戦場はその裏山。防衛隊は存在すらしませんし、舞台の狭さといったら尋常ではありません。拭いきれない低予算感が丸出しです。が、でてくる怪獣も今までウルトラマンシリーズで出てきた人気怪獣を復活させたもので、かつ「主人公がその怪獣に変身して敵怪獣と戦う」というびっくり新基軸を打ち出しています。さらには新ウルトラマンであるギンガのデザインはめちゃくちゃ格好よく、光る胸と頭部がとても印象的。メインテーマの「アーアーアーアーアー……」というコーラスが流れてからのバトルは演出が極まっていて最高以外の何者でもありません。最終決戦は今までの低予算感を一気に吹き飛ばし、「ラスボスと月にまで行って鍔迫り合いしながらグルグルと回って戦い続けて決着をつける」という流れはテレビの前で歓声をあげざるを得ないほど。演出の妙です。
 本編の話の主軸としては「黒幕が登場人物にまぎれている」や「ギンガはいったい何者なのか?(ウルトラマンタロウが知らないウルトラマンであるため)」といったものですが、それらに加え主人公たちの学生が将来のことで悩んだり立ち上がったりとするもので、上手いこと纏めてあるなぁと思わせてくれます。そんなわけで、ウルトラマンギンガ、オススメです。

ウルトラマンギンガS

 ウルトラマンギンガの正式な続編です。予算が増えたのか防衛隊ができました! 主人公ヒカルは第一話で防衛隊に入ることになり、ウルトラマンギンガに再会し、再び現れだした怪獣たちに立ち向かう……というもの。また、地底世界の存在が明らかになり、そこに住む地底人の、もうひとりの主人公ショウがウルトラマンビクトリーとして登場しました。地底人ビクトリアンとの接触といざこざ、ショウとヒカルの衝突と和解、悪性宇宙人の侵略、そして主人から棄てられてしまったアンドロイド……。本編のストーリーはすごし強引さが残ってる感じがありますが、出来栄え自体はよくできています。そしてバトルの練度はぐっと上がりました。演出は強化された上に、「お互い2分づつ戦ってあいつを足止めしよう」と、ギンガとビクトリーが交互に変身して戦う、なんて「思いつきはするけれど公式がそれを撮ろうなんて思わないだろ」といいたげな展開が出てきます。劇場版ではついに歴代のウルトラマン含め10人出演という豪華なものになりました。ウルトラマンギンガS、最高に面白いのでオススメです。

ウルトラマンX

 ギンガとは別世界の話になりました。怪獣との戦闘中に主人公「大地」がウルトラマンエックスと共に戦うことになる、という非常にウルトラマンチックな導入ではありますが、さらにいろいろと新基軸が入っています。それは大地とエックスは完全に別人格で、エックスが普通にぺらぺら喋るということです。そのため神秘性に包まれた謎の超人、というよりは「正義感あるエージェント」的存在へとなり、良き相棒、頼れる仲間、といった要素に変わっていきました。

 また、ギンガSとの比較ではなくとも、特撮のレベルが恐ろしく上がっています。エックスが怪獣に吹き飛ばされビルに叩きつけられる! 破壊されるビル! その砕けたなかに、窓枠やコピー用紙が見えるのです! ローアングルから見上げる視点のおかげでエックスと怪獣の巨大感はビシビシと伝わってきて、ザナディウム光線を放つ際の足の動きにあわせて地面が光る演出は素晴らしいの一言。さらには最終決戦、エックスが自らの正体を明かし、各国の防衛隊が総力をあげて宇宙からの侵略者へと立ち向かう……という展開はまさしく息を呑むもの。最高以外の形容詞が見つかりません。

 特撮のレベルが飛躍的に伸びた一方、メインストーリーは……イマイチ、パッとしませんでした。大地の両親は謎の失踪を遂げているのですが、その謎は明らかになるものの、「う、ううん……?」と少し首を傾げてしまうもの。エックスと人間との絆を表すために、エックス用のアーマーを開発したりするわけですが、新アーマーがどんどん現れ、かつ「ピンチになったときに新アーマー登場!」という演出を多用してしまったため、「素のエックスはそこまで強くないんじゃないのか?」と思わされてしまう流れになってしまいました。後半、エックスは強化体へと進化するのですが、あろうことか強化体登場の次の回が、前作ギンガSとのコラボ回! 「お前は自分の力を使いこなせていない!」と、ショウに特訓される展開が待っていました。そんなこともあり、「イマイチ強くない、発展途上のウルトラマン」的な印象になっています。

 脚本のより一層の改善、という宿題を抱えてはいるものの、その特撮レベルは今でも驚くものです。ウルトラマンX、オススメです。

ウルトラマンオーブ

 今回の主人公クレナイ・ガイさんは風来坊です。かつて光の巨人となって強大な敵を打倒したものの、その余波で大事な人をなくし、自らの力を見失ってしまったため変身能力を失ってしまいました。そのため今ではあくまで「他の先輩ウルトラマンの力をお借りして」変身するという新基軸を打ち出しています。変身シーンでは二枚のカードを出してウルトラマンさん! ティガさん! 光の力、お借りします!」と叫んで変身します。カードと変身アイテムを売りたくてたまらないバンナムさんの影がちらつきますが、このガイさんの変身、めちゃくちゃ格好いいんですよ! ガイさんは心に傷を負っているものの、それでも「人を助けること」に躊躇はありません。先輩ウルトラマンに敬意を示しながら、出てくる怪獣を打倒し、人を助けようとするその姿は、まさしくさすらいのヒーローと言えるでしょう。

 宿題だった脚本は一気に改善されました。「人を傷つけてしまう力」「守るべき存在を守れない正義」「ライバルキャラであるジャグラス・ジャグラーヤンデレ具合」といった要素が主軸となって、メインストーリーは展開されます。たとえば、圧倒的なパワーを誇る敵に対抗するため「ウルトラマンベリアル」という、悪のウルトラマンの力を借りなければならない展開になります。その力「サンダーブレスター」は暴力的と言えるほど強力なパワーで敵怪獣を粉砕します。しかしサンダーブレスターが暴れたあとの街は灰燼と帰しています。敵怪獣を倒すためならば周囲のことや、その怪獣に捕らわれている人質のことなど考えず力のままに暴れるようになってしまうのです。倒すのか? 守るのか? ガイさんは苦悩しながら、そして一つの答えにたどり着きます……!

 特撮面でもさらに進化が進みました。第一話では暴風を操る怪獣が暴れるのですが、その暴風に吹き飛ばされる家屋がリアルなこと!(逆さに作ったミニチュア家屋を破壊して、舞う瓦をCGで足す、という低予算で効果的な演出を組み込んでいます!) さらには手前で警官と等身大宇宙人が銃の撃ち合いをしている背後で、巨大怪獣とウルトラマンオーブが戦っているという、2つの戦いが同時進行で進む様を見せるようになります! またサンダーブレスターが暴れる場合は、ビルをへし折って敵怪獣に投げつけます! そして最終決戦ではビル群を吸い込みながら暴れるラスボスに向かって、ガイさんが全力疾走しながらウルトラマンさん! ティガさん! 光の力あぁっ! お借りしまあぁす!!!」と叫び変身すると、そのまま低空飛行するウルトラマンウルトラマンティガが並んで一体化し、ウルトラマンオーブになってラスボスに向かっていくという演出で戦いが始まります。こんなの見せつけられたらテンション激上がりですよ!

 また良エピソードぞろいのこの作品ですが、偽物のウルトラマンとして任務を果たそうとした結果、子供たちに信用されてしまい、そこから子供たちを守るため本物になろうとする下っ端宇宙人を描いた「ニセモノのブルース」、かつて地球侵略の野望を抱いてやってきたものの、今ではすっかりその野望を諦めてしまった宇宙人の哀愁を描いた「地図にないカフェ」の2つは、強くオススメできるエピソードです。今までシリーズを見たことがない人でもさっくり見て理解できるので、いきなりここから見ても問題ありません。ウルトラマンオーブ、オススメです。

ウルトラマンジー

 今回の主人公、朝倉リクは特撮ヒーローに憧れる19歳の青年。両親の存在は不明の孤児で、今は住み込みアルバイト中という身。アルバイトを終わった後は、ボロの自室でカップラーメンをすすりながら大好きな特撮ヒーロー、ドンシャインを見るというちょっとアレな状況。ところが突如として現れた怪獣を前に秘められた力が目覚め、ウルトラカプセルというものを2つ組み合わせるとウルトラマンになれることが判明! 「憧れていたヒーローになれるんだ!」とワックワクで戦いに赴く、という今までになかったパターンで話が進みます。変身中の「ヒア・ウィ・ゴー!」という掛け声をするのは、憧れのドンシャインが言っていたからという有様。しかし彼はなんと(悪のウルトラマンである)ウルトラマンベリアルの息子だったのです! ベリアルはかつてウルトラマンたちと戦い、その戦いの果てに超時空消滅爆弾を起動し地球ごとこの銀河を破壊しようとしました。しかしウルトラマンキングがその身を宇宙と一体化させたため、銀河は元に戻りました。そしてベリアルも深手を負い、次元の向こうに飛ばされたのです。ベリアルは手下のストルム星人を使い、自らの復活のため息子といえるジードを作り上げたのです。ストルム星人は地球で伏井出ケイを名乗り、朝倉リクを監視しながらウルトラマンジードにウルトラカプセルをわざと集めさせようと怪獣を出しつつ誘導するのでした……!

 つまり今作の主人公、ウルトラマンジードは「明確なニセモノ・模造品のウルトラマンなのです! そんなウルトラマンがいろんな人と出会い、自らを見つめ直し、ベリアルの息子という宿命を乗り越え、本物のヒーロー・本物のウルトラマンになっていくという展開なのです。オーブで改善された脚本はさらに進化したといえるでしょう。リクのパートナー、宇宙人のペガはめちゃくちゃ愛らしいし、ベリアルのライバル「ウルトラマンゼロ」が入り込んだ地球人「伊賀栗レイト」は、演じる役者さんの演技力の凄さも相成り頼れて格好良くて面白いキャラクターへとなっています。なにせレイトは普通のサラリーマン。変身するたびに有給休暇が一つ減るのです。ヒロイン、ライハは刀を振り回す格闘キャラに仕上がっているため、前作オーブであったような「手前で格闘バトルしている背景で巨大怪獣とウルトラマンが戦っている」演出がさらにド派手になりました。

 特撮面の進化はさらに進んでおり、とにかく演出の格好良さが光ります。ウルトラマンジードの必殺技、「レッキングバースト」は撃つ前の溜め状態で目が光り、カメラが一周し、周囲に瓦礫が浮かび上がって手がスパークするという演出の凝りよう。「これ喰らったらやばいぞ!」感が半端なく、どことなくベリアルの「悪のウルトラマン」的演出の黒さが見れます。形態変化体であるソリッドバーニングになれば鎧の隙間から蒸気が噴出し、アクロスマッシャーになればしなやかな動きで相手を翻弄します。マグニフィセントになれば圧倒的なパワーで立ち向かう感がバリバリに出ますし、ロイヤルメガマスターになれば他のウルトラマンの力を使いまくってねじ伏せることが可能なのです。

 最終決戦に向かうリクは、静かに歩きながらカプセルをセットします。そして「ヒア・ウィ・ゴー」と力強く言い、歩きながらどんどんと巨大化し、ジードになっていくリク! この格好良さは絶対に見てください。ウルトラマンジード、オススメです。

ウルトラマンR/B(ルーブ)

 今度のウルトラマンは兄弟二人です! 兄の湊カツミはウルトラマンロッソ、弟の湊イサミはウルトラマンブルに変身する能力を授かってしまい、現れる怪獣から街や家族を守る戦いに身を投じるはめになったという展開。二人のウルトラマンが同時に戦いますが、まだまだ彼らは未熟なため「二人でようやく一人前に戦えるウルトラマン」的描写となっています。そんな彼らが戦いのなかで成長していき、同時に妹アサヒの本当の姿とは? というストーリーが展開するものとなりました。

 特撮面の進化は半端なくなりました。「飛んでいるウルトラマンのすぐ背後視点のカメラ視点で、飛んで逃げる怪獣を追いかけて空中戦する長回しなんて映画でも見ることがありませんよ! 地面を割って現れる怪獣と、その地割れでひっくり返る車! 怪獣が出現し、逃げ惑う車を追いかけ怪獣が口から火炎放射すると、車が炎上したまま走り続けるだなんてTV放送で可能な予算でできるのか! と思うことになります。怪獣の力強さと被害の酷さ、対するウルトラマンの頑張り具合が光るようになっています。
 ストーリーとしては兄弟の成長記と家族の絆、そして「ウルトラマンとはなんぞや?」という問いかけが結びついて展開するわけですが、ここでルーブはとんでもないキャラを出しました。そう、愛染マコトです。アイゼンテック社長の愛染マコトは、その科学力を使いウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツへと変身するのです!「お店の人にはオーブダークくださいで通じるよ!」 愛染マコトの正体はウルトラマンを好きすぎて地球に来てウルトラマンになる方法を全力で探していたウルトラマンオタク宇宙人」なのです! 口から延々と過去のウルトラマンの名台詞を吐き出し、湊兄弟を「偶然ウルトラマンになっただけ」として絶対に認めない愛染マコト。そのため前半の強敵として立ちふさがるのです!

 そして並行する話は妹アサヒの存在。前半から次第にその存在の怪しさが強調されていたのですが、話が進むたびにその異様さが浮かび上がってきます。皆の記憶と食い違う過去の写真(なぜかアサヒの姿だけ映っていない)、しまってあった思い出の品を開いてみても、あるのは兄と弟のものだけで妹アサヒの思い出の品は全くありません。はたしてアサヒは、本当に妹なのでしょうか……?

 こんなふうに繰り広がる話なのですが………………………………………………はい、ここから雰囲気を変えていきますよ。正直なところ、ルーブにおいての脚本部分はあまり上出来なものとは言い難くなっています。素材はすごくいいんです。妹アサヒも「記憶はあるが、これがもしかして作られた記憶かもしれない。本当にアサヒを家族・妹と呼ぶことができるのか?」というものはとてもおもしろそうな素材じゃないですか。ところがルーブの兄弟は全く揺らぐことなく「アサヒは妹だ!」という態度を即、取ります。葛藤は父ウシオが一人で起こしているもので、ドラマ性はあまり起きません。これは兄弟が深刻な仲違いをしてしまうと、お子様の反応がよろしくないと考えたためでしょうか? その問題点は別の問題も引き起こしました。兄弟は時折喧嘩をするのですが……その喧嘩の内容がいまいち腑に落ちないのです。兄も弟も強烈なキャラクターを持っているというわけではなく、どことなく没個性的で、キャラ設定上兄は頑張り屋の野球好き、弟は天才肌の大学生、というものが付与されているものの、前作ジードの「ヒーローに憧れる青年」や、前々作オーブの「さすらいの風来坊」といった屈指のキャラ立ちとは遠く、「脚本の都合上動いている」感が否めません。だからこそ兄弟げんかがイマイチしっくりいかないまま上滑りをしてしまっているのです。

 その半面敵である愛染マコトは強烈な個性を発揮して、一度見たら忘れられないキャラへと昇華しているのですが、あろうことかあくまで愛染マコトは前半の敵キャラ。後半になるとあっけなく退場するはめになり、また別の悪役ヒロインが登場するわけですが、その悪役ヒロインも「地球にものすごい怪獣が近寄ってきているので、地球ごと爆破してその怪獣を倒そう」というとんでもキャラ。これはこれでキャラが立ってていいのかもしれませんが、そのものすごい怪獣というのが実際に現れて現れるのは最後の最後だったりするわけで、視聴者的には「いまいちピンとこない理由で地球をぶっ壊そうとしているキャラ」にしか感じられず、物語の広がりにおいてけぼりを食らったような感が否めません。

 あと変身バンクがいくらなんでも長すぎです。前作ジードで約40秒あった変身バンクが、兄弟二人のせいで約一分にまで伸びました! しかもこれにタイプチェンジ時のバンクも存在します。いくら変身アイテム売りたくてもやりすぎですバンナムさん。
 以上により、「特撮面においては比類ないレベルにまで昇華したものの、脚本に問題点を抱えた」作品という評価をせざるを得ません。。どことなくこの評価はウルトラマンXに近いかもしれませんね。しかし脚本に問題点があるにせよ、その特撮技術はスルーするにはあまりにもったいない作品です。ウルトラマンR/B、オススメです。



 以上がウルトラマンの、いわゆるニュージェネレーション作品のレビューになります。ギンガSを除いて、どの作品から入っても大丈夫なものばかりです。気になった作品があったら、是非見てくださいね。