平和的なブログ

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メタルギアサヴァイブというゲームの話をしよう

 メタルギアサヴァイブは皆知っているだろう。コナミが誇る一大コンテンツ、メタルギアシリーズの最新作……そして、今まで製作を仕切っていた小島監督が不在になってからの、初の作品だ。このゲームはとにかく叩かれまくっていた。いや、現に今でも叩かれまくっている。「ゾンビなんてメタルギアじゃない」「小島監督が作ってないメタルギアなんて偽物」「小島監督メタルギアを返せ」etcetc、ちょっとネットを検索すればこれらの言説は容易に見つかることだろう。もしコレを読んでいるキミがそれに似たような感情をちょっとでも持っていて、かつ私の戯言を読んでくれるというのなら……それはとても光栄なことだ。もうちょっとだけ、キミの時間を私にくれ。

 このゲームはその名前のとおり、サバイバルなゲームだ。チュートリアルを始めれば、ゾンビの大群に襲われ、それを切り抜け逃げ出したところから急速に空腹と喉の渇きに襲われる。そのまま呑気に周囲の探索に出ようとしてしまえば、キミを待っているのは「死」だ。哀れな遭難者として人生を終えることだろう。そうなりたくなれば、喉の渇きを潤すために泥水をすすり、必死に鉄パイプから作った手槍で羊を狩ることだ。生肉は食中毒の可能性があるが……まぁ死ぬよりはマシだろう? 水場の近くに食べられる果実を見つけることができるかもしれない。それらは確実にキミを死の淵から、生の方向へ引っ張ってくれる。

 狩りには慣れた? 水も確保した? よし、それなら霧の中に突っ込もうか。それは人体には有害だが、ガスマスクをつけていけば問題ない。酸素が減っていって無くなってしまえば体力が物凄い勢いで減っていくが、ゾンビを倒したりそこらにある結晶体を破壊することで確保できるエナジーは、幸い酸素に変換できる。逐次酸素に変換しながら(もちろんその最中に敵が襲ってくることもあるが)先に進んで、霧の中にあるはずのコンテナを探し、生き延びる術が記されたレシピを見つけることができるだろう。レシピには何が記されている? 火炎瓶か、地雷か、有刺鉄線のバリケードか。いずれも使いこなすことで敵を撃退することに大いに貢献することだろう。

 鉄パイプの手槍から強化されたマチェットに持ち替え、場合によっては銃と弾丸も揃えたかもしれない。その弾丸も一発一発手作りしなければならないから、撃つときにはその勘定も計算しなければならない。錯乱して銃を乱発し、素材すらなくなった場合は……その銃はただの重りだから、いっそのこと装備を外してしまおうか。敵には近づいて倒さなければならなくなるか、もしくは弓を使うのも良い。矢も有限だが、拾ってリサイクルできるのが強みだ。

 この頃からキミのサバイバルは、食糧難とは無縁になり、敵を倒すことがメインになっていくだろう。大量のゾンビをフェンスで食い止め、高笑いしながら槍で突き倒すこともできる。そのフェンスがひしゃ曲がり、倒れたところを火炎瓶で狙っても良い。もしかしたらそこには地雷が埋め込まれていて、倒れたと同時に爆発がおきてゾンビが消し飛ぶところを見ることができるかもしれない。タワーディフェンスな作戦が開始されても、キミは適切にバリケードを築き、敵の襲来を跳ね除け、他の生存者を救出することができるだろう。

 このゲームの肝は、慣れてきたころに違う面を見せるところにある。キミはもう最初のような、喉の渇きと空腹に苦しむ遭難者ではない。皆から頼られ、引っ張っていく「キャプテン」だ。見晴らしの悪い霧の中にに単身突入し、物資とレシピを大量に引き上げ戻ってくる。一流のサバイバーとして覚醒したのだ。未踏破地区でいっぱいの地図も、今のキミならばわくわくするオープンワールドの遊び場にしか過ぎないだろう。

 そしてキミがこの世界になれた頃、唐突にストーリーは急展開を迎える。今まで慣れ親しんだ場所から離れ、まったく別の場所でストーリーが進むのだ。その場所でキミは、今までの敵とは思えない素早さを見せる敵、銃撃を食らわせてくる敵、あまりに硬すぎる敵、などに出会うことだろう。キミが今まで得た知識を最大限用いて「サヴァイブ」に挑戦することになる。難易度は急上昇する。今まで容易に行えたタワーディフェンスがまさしく児戯に思えることだろう。ここでくじけてはいけない。キミはキャプテンなのだから。
そしてこれらの困難な状況を突破したキミに、真実が唐突に現れる。そう、真実だ。
 

  • 以下、若干のネタバレあり。もし「メタルギアサヴァイブ買ってくるわ」という奇特な人がいたら、すぐにブラウザを閉じてダウンロード版を買って、プレイしてくれ

 







 
 このゲームは、もはや発売自体が忌避されているものだった。MGSVを作ったスタッフたちとはいえ、小島監督不在でこのシリーズを続けることにどうしたらいいかわからない、というのが正直な本音なのではないだろうか。しかしコナミとしてはメタルギアは当然稼ぎ頭なシリーズだ。会社としては続けたい。プロデューサーの是角有二氏はメタルギアライジングにもプロデューサーをしてた熟練者だ。彼は、このメタルギアサヴァイブで非常にクレバーな判断を下した。それはこのメタルギアサヴァイブを「シリーズの中にあってシリーズから抹消させた」のであった。

 プレイヤーが与えられた使命は、当初は「生き延びる」ことだった。そこから「仲間たちを助ける」にかわっていき、そして「元の世界に帰る」という目的が見えていく。しかし途中で「世界を救う」というものに変わる。彼らは生き延びるために逃げるのではなく、世界を救うために強大な敵に立ち向かうこととなる。そして最後には「このメタルギアサヴァイブというゲームを、歴史から消す」という最終目的が提示されるのだ。

当初の「ゾンビなんてメタルギアじゃない!」という声……それを上げたキミ、そう、キミだ。まさしくキミは正しい! そうなんだ! メタルギアにゾンビなんて出てくるわけがないんだ! それを肯定するために、このゲームのエンディングは存在する。メタルギアにゾンビなんて存在しないんだ! その歴史を作るために、キミはこの死の世界にいる!!
 
 このエンディングに結びつけたプロデューサーの是角有二氏、ならびにここまで凝ったゲームデザインを行ったスタッフ達には最大限の敬意を示したい。そして、そのスタッフ達をここまで育てあげた小島監督は間違いなく奇才だ。コナミを退社してしまい、おそらく今後はメタルギアに携わることはないだろうが、今作の功労者であることは疑いない。ありがとう、小島監督

 このゲームをやらずに非難することは容易だ。しかしできることならば、やってから非難をしてほしい。こんな駄文を読んでいる時間があるのだから、キミには難しいことではないだろう?