平和的なブログ

ゲームのことばっかり話してます。たまに映画とか。

埋もれた名作が埋もれてしまった理由をいろいろと考えようか

 埋もれた名作、と聞いて皆さんはどんな作品を思い浮かべるだろうか? ゲームでもアニメでも映画でも、名作の影に隠れてしまった作品は星の数ほどある。そんな影に隠れた作品でも、貴方にとってはとても心に残った名作があるに違いない。私にとって埋もれた名作の一つが、『ブラッドギア』である。


 ブラッドギアは1994年にPCエンジンスーパーCD-ROM2用に発売された横スクロールロボットアクションゲームだ。発売はハドソンだが開発会社はウエストン ビット エンタテイメント。ストーリー的には実は別のソフトの続編にあたるのだが、まぁそれはエンディングで匂わせるだけなので知識としては不要だ。このゲームは自機「パワードギア」と呼ばれる大型人型ロボットを操作して、敵を撃破していくのだが、RPG要素も組み込まれていて、敵を倒すたびに金がもらえ、その金で自機を改造し、ジャンプ力を上げ、ダッシュスピードを上げ、動きのレスポンスを向上させていくことができる。こういうゲームには欠かせない自機の乗り換えイベントもあったりするし、ボス戦後や章の合間には気合の入ったムービーパートも存在する。
 驚くのがその自機の動きだ。ダッシュする際には「キュイィィィン!」という効果音とともに後ろに砂埃をあげ、ビームソードを振るう時には踏み込みをし、スラスターを吹かせばちゃんと自機の重さを感じさせつつもホバリングを行える。最初こそは重さが鈍さにつながる動きしかできなかった自機が、改造を重ねるに連れ機敏になっていき、思い通りの動きを見せるようになっていく。強い敵に遭遇した場合、レベル上げに相当する「改造資金稼ぎ」を行う必要が出てくるが、このゲームにおいては自機を動かすアクション自体が楽しいためにさほど苦にならない。

 武器の仕様も面白く、接近武器であるビームソード系以外の銃火器は弾数制の使い捨てだ。8方向に自由自在に振り回せるハンドガンや、左右上下のみで威力はそこそこのライフル、左右限定だが高威力のバズーカといった具合に、使い勝手の良さと威力は反比例にある。ショップで買えたりするが、このゲームにおいては銃火器は敵から奪うものだ。ビームソードで敵をぶん殴り、倒した敵からバズーカを奪い、出てくる巨大兵器にありったけのバズーカの弾を打ち込んでいく! また迫り来る壁のような機動兵器からバックダッシュで逃げつつライフルを打ち込みまくり破壊する。こういうのは君は大好きだろう? 残弾を気にするのが嫌になってきた頃には、残弾無制限のビームライフルが手に入るぞ(といっても代わりにHPが減っていくが)。

 そういった上質のアクションの後ろで展開されるのは、王道直球ストーリー。悪の皇帝が支配する帝国の弾圧に反旗を翻すレジスタンスたち。その一員で新型パワードギア「ガーズハルト」を完成させた博士たちの元に、帝国軍の奇襲が! 博士は死亡してしまい、新型のガーズハルトも奪われてしまう。生き残りである博士の助手は唯一残っていたパワードギア「Vジーク」に乗り込み、パワードギアと人間をつなぐ機械「アームズ」を、博士の息子であり主人公であるアレフの元に運び、事切れた。アレフは父の死を聞かされ、帝国軍への怒りを静かに燃やしながら、アームズを手にしそのVジークへと乗り込むのだった…というもの。どこかで聞いたことがありそうなほど、王道でありふれたストーリー。しかしこれがCD-ROMによる大容量を下地に展開するため、声優が熱演し、ムービーが盛り上げていく。


 このゲームは古臭いロボットモノアニメであるコテコテ要素をこれでもか、とつぎ込んである。実は顔と名前を変えて生きていた父、そしてその父が実はレジスタンスのリーダー、破壊されてしまったパワードギアの代わりとなる新型パワードギア、そしてその新型も戦いの果て次第に限界が近づき、ガーズハルト奪還作戦が成功した後は仲間に譲られ、後方支援として活用されることになる(ちゃんと背景で戦ってるのが見える)などなど。

 そしてストーリーの展開は盛り上がりを重視するため、辻褄はあとまわしだ。ライバルとして幾度となく主人公の前に現れる帝国の騎士は実は主人公の兄だったり、皇帝が「本当の黒幕はお前の父親だ」みたいなことを言い出したり、アームズの正体がなんかやばめな代物だったり。風呂敷はどんどん広がっていくものの、最後にすべての伏線が明らかになる……というわけではない。それはそれ。大事なのは盛り上げだ。細かなところの突っ込みはゲームカタログあたりに任せておけばよい。そしてこのゲームは盛り上げることにはちゃんと成功している。下手に盛り上がらない展開よりも、はるかに良い。エンディング後に「そういやアレなにかおかしくないか?」と思い直すことになったとしても、そんな考え込む暇があるなら二週目をプレイすべきなのだ。ゴジラvsキングギドラタイムパラドックスについて熟考するよりも何も考えず見たほうが楽しめるのと一緒だ。


 さて、ここまで褒めちぎっておいてなんだが、この問題について触れなければならない。「ではどうしてこの作品は埋もれてしまったのか?」という問題だ。94年というPCエンジンの晩年期に出てしまったためか? それもあるだろう。しかし私の思う最大の問題点は「この翌年95年に、こともあろうか初代フロントミッションが発売されてしまった」ということである。なにしろマシンガンの薬莢が弾け飛ぶ! ダッシュパンチの慣性がついている! ミサイルがあたったときにはキノコ雲が立ち上がる! 恐ろしく書き込まれた機動兵器ヴァンツァーの動きと、展開するのはハードで重いストーリーSLGと横スクロールアクションという違いはあれど、「作り込まれたロボット兵器の動き」という面でフロントミッションの輝きの前に完全に飲まれてしまっていた。

 そしてさらに翌年、「フロントミッションガンハザード」が発売された。あろうことか、横スクロールアクションである。ダッシュするときには前屈態勢を取り、パンチをするときには踏み込むどころか全身の体重を乗せて放つ。シールドを出す時には重さを感じさせ、ジャンプや着地のときには全身をバネのように使い、そういった動きを駆使して超巨大兵器に立ち向かう熱い展開が広げられる。もはや二年前にPCエンジンで発売された古臭いロボットアクションゲームのことなど、誰も覚えていなかったのだ。


 ブラッドギアは間違いなく面白い。名作だ。しかしそう主張する私ですら、フロントミッションガンハザードとの比較は「なぜそんな残酷な真似ができるのか?」と言わざるを得なくなる。「もしかしたら、埋もれたままでいたほうが良いのかもしれない」、そう思った人が多数いたからこそ、このゲームは埋もれてしまったのではないだろうか。
 
 ブラッドギアはWiiバーチャルコンソールで配信されているタイトルだ(新たに入金することは出来ないが、残高が残っているなら購入は1月末まではできる)。しかしだからといって再評価された、という話は聞かない。埋もれた名作は埋もれたままだったのだ。しかし誰もが忘れたまま、というのはあまりに寂しい。ここに備忘録として、ネットの海に漂う記事の一つとして書き記しておくことにする。埋もれさせたままでいるというのは、やはり寂しいものなのだから。

メタルギアサヴァイブの真髄を知らないままレビューを書いてしまった懺悔をする

 概ね一年前、このような記事を書いた。当時めちゃくちゃに叩かれていたメタルギアサヴァイブを肯定的に書いたレビューで、そこそこの反響と評価を頂けた。ほんの少しではあるものの、メタルギアサヴァイブの汚名を雪げたと思っている。発売からもうすぐ一周年になろうとしているこのタイミングで、再度メタルギアサヴァイブの記事を書かねばならないという信念を震わせることとなった。

 その理由を説明するために、私は一度このBlog、上記記事を読んでくださった皆様に謝罪をしなければならない。

 私はメタルギアサヴァイブの真髄を知らないまま、あの記事を書いてしまった。

 本当に申し訳ない。私はメタルギアサヴァイブの表層部分をなぞって面白いと思ってレビューを書いていた。それは間違いだった。メタルギアサヴァイブの真の面白さは、もっともっと奥深いところにあったのだ。それがようやくわかった。今回の記事はそれを解説することに尽力する。メタルギアサヴァイブがどのようなゲームであるのか、少しでも理解して頂ければこれに勝る喜びはない。


 メタルギアサヴァイブは大きく2つのモードが存在する。一人用のシングルプレイモードと、オンラインで協力するCoopモードだ。両方ともセーブデータは共通で、シングルで素材を集めたりレベルをあげてCoopに挑戦というスタイルが一般的だ。Coopで高得点を獲得すれば新しい武器や防具、ガジェットのレシピが手に入る。難易度はイージー、ノーマル、ハード、エクストリームの四段階で、エクストリームの難易度は尋常ではない。最高レベルに上げたキャラクターでも立ち回りを間違えたら、あっという間に敵ゾンビの餌になること必至である。

 Coopモードで協力する場合、防衛拠点を次々に現れる敵ゾンビから制限時間の間必死で守るゲームになるのだが、これをシングルプレイで確保した有刺鉄線のフェンスや、自動で敵を屠るマシンガンタレットを設置していくこととなる。敵ゾンビは制限時間内でどんどんと現れるが、そのまま守るだけでは最高ランクを獲得することはできない。防衛拠点で「加速」を行うことでようやく最高ランクを狙えるようになるが、加速をすると敵ゾンビがでてくる上限が増える。さらには一発でも拠点が攻撃されるとその加速はリセットされてしまう。再度加速を行うには、敵ゾンビを倒したときに出てくるエナジーを消費する必要がある。このエナジーは加速の他、弾薬の補充、防衛拠点装備の召喚、そして一発逆転メタルギアRAYの召喚にも使うことができる。メタルギアRAYを召喚した場合、マップを埋め尽かさんばかりにいたゾンビ共を水圧カッターでなぎ倒す雄姿を見ることができる。無駄遣いは厳禁だ。

 イージーやノーマルでプレイする場合は話はさほど難しいものではない。敵が現れるから手持ちの武器で倒し、別ルートで現れる敵はフェンスなどのガジェットで食い止めておく。エナジーが溜まったタイミングで採掘の加速をかけ、場合によってはメタルギアRAYを呼んでその雄姿を愉しめばよい。一人でも良いが、クイックマッチやフレンドで集まった複数人プレイならわちゃわちゃしているだけでも楽しめるはずだ。

 そして難易度ハードもマッチングして上級者と一緒にプレイすることができれば、そこまで難しいことはない。足手まといにならないようにできる範囲で敵を倒し、フェンスを張っておけばSランククリアは目前だ。
 そう、Sランククリアは可能なのだ。マッチングすれば。

 私が完全に見落としていたのはこの点だった。私が今までプレイしてきたメタルギアサヴァイブの殆どは、クイックマッチやフレンドの招待を使った複数人によるCoopモードだったのだ。そして何の気なしに、一人でこのCoopモードのハードをプレイしたところ、衝撃を覚えた。

 このゲーム、Coopモードのハードを一人でプレイした時全く別のゲームに変わるのだ。それは頼れるものは己自身のみ。厳しく険しい「サヴァイブ」の世界だった。敵の出現箇所を予測し、食い止める箇所を見定めガジェットを設置しなければならない。そのガジェットもただフェンスを置いただけではすぐに破られてしまう。フレイムトラップと組み合わせることでフェンスを攻撃するゾンビたちを焼き尽くしたり、フェンスの向こうにマシンガンタレットを設置してなぎ倒すのも良いだろう。デコイを用意して敵の気を反らすのも有効だし、強敵が出てくる場所には予め可燃性ドラム缶を設置しておき、出現と同時にハンドガンで撃つのもよい。C4を相手めがけて投擲してもよい。それらのガジェットはすべて有限だ。如何にどれをどこに設置するか考え抜かなければならない。思慮なしに置いても現れる敵ゾンビたちを食い止めることは不可能だ。

 そう、メタルギアサヴァイブは如何にガジェットの性能を発揮しうるか、考え、事前準備で装備を整え、実戦ではリアルタイムで状況を動かしていくゲームなのだ。エリアによって有効な戦略は変わっていく。仲間なしで一人で対処するためには絶対にガジェットを使わざるを得ない。さあ頭を使え。手持ちのガジェットの組み合わせの有効利用を探すのだ。ダンボールフェンスは敵の移動方向を変える。ならば崖に誘導したら? その崖の下にフレイムトラップを仕掛けたら? 空気砲は相手を吹き飛ばすがノーダメージだ。ならばその吹き飛ばす先にスパイクボールを設置したら? ガジェットには耐久力が設定してあり、ゾンビの攻勢とともに減っていく。マップを駆け回りながらどのガジェットが壊れそうか見極める必要がある。

 眼の前の敵ゾンビを手持ちの武器でなぎ倒していくのは楽しい。しかしそれに夢中になって、他のルートから侵攻されているか、マップを常時確認しておかなければならない。フェンスが突破された? 予備のフェンスはあるか? なければ手持ちの素材でつくることはできるか? そもそも貼り直す余裕はあるか? とっておきのフレイム弾を込めたショットガンでなぎ倒したほうがいいか? 秒の判断が戦いの行方を左右する。もしその判断に失敗して拠点を攻撃されてしまった場合……あえて採掘中止に割り切ったほうが、高ランクを維持したまま終わることもある。耐久力がゼロになってしまったら、どんなに良いところに行ってたとしてもDランクだ。今まで消耗した素材とガジェットと弾薬は帰ってこない。まるきりの無駄だ。撤退してBランクを維持できれば、そこそこの貴重素材が獲得できて黒字になる可能性が高い。撤退は恥ではない。

 もし自分の編み出した戦術がすべてうまく行き……思うがままに戦場がコントロールできてSランクが取れた時、その喜びは形容し難い。私は未だ途上で、エクストリームソロは手も足も出ない。最上位ランクのエピック装備を持っているが、このゲームは武器・防具を揃えたところで勝てるゲームではない。とにかくガジェットの利用方法の最適化を突き詰めるゲームなのだ。

 ここまで到達するにはそもそもシングルプレイのクリアと、その後の隠しボス退治、ベースキャンプ採掘の掘り進みとかなり長い道のりとなる。気軽に「是非プレイして欲しい」といえるプレイ時間の長さではない(まっすぐ進んでも概ね40-50時間と、リアル日数2週間ほどが必要になるはず)。その上で言わせてもらいたい。「このゲームは是非プレイして貰いたい」。

 もし貴方がこの領域に到達する前にくじけそうになってしまったら、迷わず他の人を頼ってほしい。このゲームには貴方に手を差し伸べる「キャプテン」たちがいるのだから。

ウルトラマン・ニュージェネレーションシリーズレビュー

ウルトラマン」というコンテンツが世に現れて、50年以上が過ぎました。未だに新作が作られ、私たちに提供されているということは非常に喜ばしいことです。きっと息子氏が大人になった頃でも、新作ウルトラマンは作られ続けていることでしょう。
 今回のブログ記事は「なんとなくウルトラマンに興味はなくはないんだけど、何から見たらいいのかわからない人向けに紹介する、という体で、現行のウルトラマンシリーズのレビューを行う」という内容です。内容に踏み込むため、「ネタバレ」にはあまり配慮を行っておりません。お含み起きくださいませ。それではさっそく行ってみましょう!

ウルトラマンギンガ

 6年ぶりの地上波復活となった新作ウルトラマンですが、びっくりするほどチャチです。なんせメインの舞台は学校で、主戦場はその裏山。防衛隊は存在すらしませんし、舞台の狭さといったら尋常ではありません。拭いきれない低予算感が丸出しです。が、でてくる怪獣も今までウルトラマンシリーズで出てきた人気怪獣を復活させたもので、かつ「主人公がその怪獣に変身して敵怪獣と戦う」というびっくり新基軸を打ち出しています。さらには新ウルトラマンであるギンガのデザインはめちゃくちゃ格好よく、光る胸と頭部がとても印象的。メインテーマの「アーアーアーアーアー……」というコーラスが流れてからのバトルは演出が極まっていて最高以外の何者でもありません。最終決戦は今までの低予算感を一気に吹き飛ばし、「ラスボスと月にまで行って鍔迫り合いしながらグルグルと回って戦い続けて決着をつける」という流れはテレビの前で歓声をあげざるを得ないほど。演出の妙です。
 本編の話の主軸としては「黒幕が登場人物にまぎれている」や「ギンガはいったい何者なのか?(ウルトラマンタロウが知らないウルトラマンであるため)」といったものですが、それらに加え主人公たちの学生が将来のことで悩んだり立ち上がったりとするもので、上手いこと纏めてあるなぁと思わせてくれます。そんなわけで、ウルトラマンギンガ、オススメです。

ウルトラマンギンガS

 ウルトラマンギンガの正式な続編です。予算が増えたのか防衛隊ができました! 主人公ヒカルは第一話で防衛隊に入ることになり、ウルトラマンギンガに再会し、再び現れだした怪獣たちに立ち向かう……というもの。また、地底世界の存在が明らかになり、そこに住む地底人の、もうひとりの主人公ショウがウルトラマンビクトリーとして登場しました。地底人ビクトリアンとの接触といざこざ、ショウとヒカルの衝突と和解、悪性宇宙人の侵略、そして主人から棄てられてしまったアンドロイド……。本編のストーリーはすごし強引さが残ってる感じがありますが、出来栄え自体はよくできています。そしてバトルの練度はぐっと上がりました。演出は強化された上に、「お互い2分づつ戦ってあいつを足止めしよう」と、ギンガとビクトリーが交互に変身して戦う、なんて「思いつきはするけれど公式がそれを撮ろうなんて思わないだろ」といいたげな展開が出てきます。劇場版ではついに歴代のウルトラマン含め10人出演という豪華なものになりました。ウルトラマンギンガS、最高に面白いのでオススメです。

ウルトラマンX

 ギンガとは別世界の話になりました。怪獣との戦闘中に主人公「大地」がウルトラマンエックスと共に戦うことになる、という非常にウルトラマンチックな導入ではありますが、さらにいろいろと新基軸が入っています。それは大地とエックスは完全に別人格で、エックスが普通にぺらぺら喋るということです。そのため神秘性に包まれた謎の超人、というよりは「正義感あるエージェント」的存在へとなり、良き相棒、頼れる仲間、といった要素に変わっていきました。

 また、ギンガSとの比較ではなくとも、特撮のレベルが恐ろしく上がっています。エックスが怪獣に吹き飛ばされビルに叩きつけられる! 破壊されるビル! その砕けたなかに、窓枠やコピー用紙が見えるのです! ローアングルから見上げる視点のおかげでエックスと怪獣の巨大感はビシビシと伝わってきて、ザナディウム光線を放つ際の足の動きにあわせて地面が光る演出は素晴らしいの一言。さらには最終決戦、エックスが自らの正体を明かし、各国の防衛隊が総力をあげて宇宙からの侵略者へと立ち向かう……という展開はまさしく息を呑むもの。最高以外の形容詞が見つかりません。

 特撮のレベルが飛躍的に伸びた一方、メインストーリーは……イマイチ、パッとしませんでした。大地の両親は謎の失踪を遂げているのですが、その謎は明らかになるものの、「う、ううん……?」と少し首を傾げてしまうもの。エックスと人間との絆を表すために、エックス用のアーマーを開発したりするわけですが、新アーマーがどんどん現れ、かつ「ピンチになったときに新アーマー登場!」という演出を多用してしまったため、「素のエックスはそこまで強くないんじゃないのか?」と思わされてしまう流れになってしまいました。後半、エックスは強化体へと進化するのですが、あろうことか強化体登場の次の回が、前作ギンガSとのコラボ回! 「お前は自分の力を使いこなせていない!」と、ショウに特訓される展開が待っていました。そんなこともあり、「イマイチ強くない、発展途上のウルトラマン」的な印象になっています。

 脚本のより一層の改善、という宿題を抱えてはいるものの、その特撮レベルは今でも驚くものです。ウルトラマンX、オススメです。

ウルトラマンオーブ

 今回の主人公クレナイ・ガイさんは風来坊です。かつて光の巨人となって強大な敵を打倒したものの、その余波で大事な人をなくし、自らの力を見失ってしまったため変身能力を失ってしまいました。そのため今ではあくまで「他の先輩ウルトラマンの力をお借りして」変身するという新基軸を打ち出しています。変身シーンでは二枚のカードを出してウルトラマンさん! ティガさん! 光の力、お借りします!」と叫んで変身します。カードと変身アイテムを売りたくてたまらないバンナムさんの影がちらつきますが、このガイさんの変身、めちゃくちゃ格好いいんですよ! ガイさんは心に傷を負っているものの、それでも「人を助けること」に躊躇はありません。先輩ウルトラマンに敬意を示しながら、出てくる怪獣を打倒し、人を助けようとするその姿は、まさしくさすらいのヒーローと言えるでしょう。

 宿題だった脚本は一気に改善されました。「人を傷つけてしまう力」「守るべき存在を守れない正義」「ライバルキャラであるジャグラス・ジャグラーヤンデレ具合」といった要素が主軸となって、メインストーリーは展開されます。たとえば、圧倒的なパワーを誇る敵に対抗するため「ウルトラマンベリアル」という、悪のウルトラマンの力を借りなければならない展開になります。その力「サンダーブレスター」は暴力的と言えるほど強力なパワーで敵怪獣を粉砕します。しかしサンダーブレスターが暴れたあとの街は灰燼と帰しています。敵怪獣を倒すためならば周囲のことや、その怪獣に捕らわれている人質のことなど考えず力のままに暴れるようになってしまうのです。倒すのか? 守るのか? ガイさんは苦悩しながら、そして一つの答えにたどり着きます……!

 特撮面でもさらに進化が進みました。第一話では暴風を操る怪獣が暴れるのですが、その暴風に吹き飛ばされる家屋がリアルなこと!(逆さに作ったミニチュア家屋を破壊して、舞う瓦をCGで足す、という低予算で効果的な演出を組み込んでいます!) さらには手前で警官と等身大宇宙人が銃の撃ち合いをしている背後で、巨大怪獣とウルトラマンオーブが戦っているという、2つの戦いが同時進行で進む様を見せるようになります! またサンダーブレスターが暴れる場合は、ビルをへし折って敵怪獣に投げつけます! そして最終決戦ではビル群を吸い込みながら暴れるラスボスに向かって、ガイさんが全力疾走しながらウルトラマンさん! ティガさん! 光の力あぁっ! お借りしまあぁす!!!」と叫び変身すると、そのまま低空飛行するウルトラマンウルトラマンティガが並んで一体化し、ウルトラマンオーブになってラスボスに向かっていくという演出で戦いが始まります。こんなの見せつけられたらテンション激上がりですよ!

 また良エピソードぞろいのこの作品ですが、偽物のウルトラマンとして任務を果たそうとした結果、子供たちに信用されてしまい、そこから子供たちを守るため本物になろうとする下っ端宇宙人を描いた「ニセモノのブルース」、かつて地球侵略の野望を抱いてやってきたものの、今ではすっかりその野望を諦めてしまった宇宙人の哀愁を描いた「地図にないカフェ」の2つは、強くオススメできるエピソードです。今までシリーズを見たことがない人でもさっくり見て理解できるので、いきなりここから見ても問題ありません。ウルトラマンオーブ、オススメです。

ウルトラマンジー

 今回の主人公、朝倉リクは特撮ヒーローに憧れる19歳の青年。両親の存在は不明の孤児で、今は住み込みアルバイト中という身。アルバイトを終わった後は、ボロの自室でカップラーメンをすすりながら大好きな特撮ヒーロー、ドンシャインを見るというちょっとアレな状況。ところが突如として現れた怪獣を前に秘められた力が目覚め、ウルトラカプセルというものを2つ組み合わせるとウルトラマンになれることが判明! 「憧れていたヒーローになれるんだ!」とワックワクで戦いに赴く、という今までになかったパターンで話が進みます。変身中の「ヒア・ウィ・ゴー!」という掛け声をするのは、憧れのドンシャインが言っていたからという有様。しかし彼はなんと(悪のウルトラマンである)ウルトラマンベリアルの息子だったのです! ベリアルはかつてウルトラマンたちと戦い、その戦いの果てに超時空消滅爆弾を起動し地球ごとこの銀河を破壊しようとしました。しかしウルトラマンキングがその身を宇宙と一体化させたため、銀河は元に戻りました。そしてベリアルも深手を負い、次元の向こうに飛ばされたのです。ベリアルは手下のストルム星人を使い、自らの復活のため息子といえるジードを作り上げたのです。ストルム星人は地球で伏井出ケイを名乗り、朝倉リクを監視しながらウルトラマンジードにウルトラカプセルをわざと集めさせようと怪獣を出しつつ誘導するのでした……!

 つまり今作の主人公、ウルトラマンジードは「明確なニセモノ・模造品のウルトラマンなのです! そんなウルトラマンがいろんな人と出会い、自らを見つめ直し、ベリアルの息子という宿命を乗り越え、本物のヒーロー・本物のウルトラマンになっていくという展開なのです。オーブで改善された脚本はさらに進化したといえるでしょう。リクのパートナー、宇宙人のペガはめちゃくちゃ愛らしいし、ベリアルのライバル「ウルトラマンゼロ」が入り込んだ地球人「伊賀栗レイト」は、演じる役者さんの演技力の凄さも相成り頼れて格好良くて面白いキャラクターへとなっています。なにせレイトは普通のサラリーマン。変身するたびに有給休暇が一つ減るのです。ヒロイン、ライハは刀を振り回す格闘キャラに仕上がっているため、前作オーブであったような「手前で格闘バトルしている背景で巨大怪獣とウルトラマンが戦っている」演出がさらにド派手になりました。

 特撮面の進化はさらに進んでおり、とにかく演出の格好良さが光ります。ウルトラマンジードの必殺技、「レッキングバースト」は撃つ前の溜め状態で目が光り、カメラが一周し、周囲に瓦礫が浮かび上がって手がスパークするという演出の凝りよう。「これ喰らったらやばいぞ!」感が半端なく、どことなくベリアルの「悪のウルトラマン」的演出の黒さが見れます。形態変化体であるソリッドバーニングになれば鎧の隙間から蒸気が噴出し、アクロスマッシャーになればしなやかな動きで相手を翻弄します。マグニフィセントになれば圧倒的なパワーで立ち向かう感がバリバリに出ますし、ロイヤルメガマスターになれば他のウルトラマンの力を使いまくってねじ伏せることが可能なのです。

 最終決戦に向かうリクは、静かに歩きながらカプセルをセットします。そして「ヒア・ウィ・ゴー」と力強く言い、歩きながらどんどんと巨大化し、ジードになっていくリク! この格好良さは絶対に見てください。ウルトラマンジード、オススメです。

ウルトラマンR/B(ルーブ)

 今度のウルトラマンは兄弟二人です! 兄の湊カツミはウルトラマンロッソ、弟の湊イサミはウルトラマンブルに変身する能力を授かってしまい、現れる怪獣から街や家族を守る戦いに身を投じるはめになったという展開。二人のウルトラマンが同時に戦いますが、まだまだ彼らは未熟なため「二人でようやく一人前に戦えるウルトラマン」的描写となっています。そんな彼らが戦いのなかで成長していき、同時に妹アサヒの本当の姿とは? というストーリーが展開するものとなりました。

 特撮面の進化は半端なくなりました。「飛んでいるウルトラマンのすぐ背後視点のカメラ視点で、飛んで逃げる怪獣を追いかけて空中戦する長回しなんて映画でも見ることがありませんよ! 地面を割って現れる怪獣と、その地割れでひっくり返る車! 怪獣が出現し、逃げ惑う車を追いかけ怪獣が口から火炎放射すると、車が炎上したまま走り続けるだなんてTV放送で可能な予算でできるのか! と思うことになります。怪獣の力強さと被害の酷さ、対するウルトラマンの頑張り具合が光るようになっています。
 ストーリーとしては兄弟の成長記と家族の絆、そして「ウルトラマンとはなんぞや?」という問いかけが結びついて展開するわけですが、ここでルーブはとんでもないキャラを出しました。そう、愛染マコトです。アイゼンテック社長の愛染マコトは、その科学力を使いウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツへと変身するのです!「お店の人にはオーブダークくださいで通じるよ!」 愛染マコトの正体はウルトラマンを好きすぎて地球に来てウルトラマンになる方法を全力で探していたウルトラマンオタク宇宙人」なのです! 口から延々と過去のウルトラマンの名台詞を吐き出し、湊兄弟を「偶然ウルトラマンになっただけ」として絶対に認めない愛染マコト。そのため前半の強敵として立ちふさがるのです!

 そして並行する話は妹アサヒの存在。前半から次第にその存在の怪しさが強調されていたのですが、話が進むたびにその異様さが浮かび上がってきます。皆の記憶と食い違う過去の写真(なぜかアサヒの姿だけ映っていない)、しまってあった思い出の品を開いてみても、あるのは兄と弟のものだけで妹アサヒの思い出の品は全くありません。はたしてアサヒは、本当に妹なのでしょうか……?

 こんなふうに繰り広がる話なのですが………………………………………………はい、ここから雰囲気を変えていきますよ。正直なところ、ルーブにおいての脚本部分はあまり上出来なものとは言い難くなっています。素材はすごくいいんです。妹アサヒも「記憶はあるが、これがもしかして作られた記憶かもしれない。本当にアサヒを家族・妹と呼ぶことができるのか?」というものはとてもおもしろそうな素材じゃないですか。ところがルーブの兄弟は全く揺らぐことなく「アサヒは妹だ!」という態度を即、取ります。葛藤は父ウシオが一人で起こしているもので、ドラマ性はあまり起きません。これは兄弟が深刻な仲違いをしてしまうと、お子様の反応がよろしくないと考えたためでしょうか? その問題点は別の問題も引き起こしました。兄弟は時折喧嘩をするのですが……その喧嘩の内容がいまいち腑に落ちないのです。兄も弟も強烈なキャラクターを持っているというわけではなく、どことなく没個性的で、キャラ設定上兄は頑張り屋の野球好き、弟は天才肌の大学生、というものが付与されているものの、前作ジードの「ヒーローに憧れる青年」や、前々作オーブの「さすらいの風来坊」といった屈指のキャラ立ちとは遠く、「脚本の都合上動いている」感が否めません。だからこそ兄弟げんかがイマイチしっくりいかないまま上滑りをしてしまっているのです。

 その半面敵である愛染マコトは強烈な個性を発揮して、一度見たら忘れられないキャラへと昇華しているのですが、あろうことかあくまで愛染マコトは前半の敵キャラ。後半になるとあっけなく退場するはめになり、また別の悪役ヒロインが登場するわけですが、その悪役ヒロインも「地球にものすごい怪獣が近寄ってきているので、地球ごと爆破してその怪獣を倒そう」というとんでもキャラ。これはこれでキャラが立ってていいのかもしれませんが、そのものすごい怪獣というのが実際に現れて現れるのは最後の最後だったりするわけで、視聴者的には「いまいちピンとこない理由で地球をぶっ壊そうとしているキャラ」にしか感じられず、物語の広がりにおいてけぼりを食らったような感が否めません。

 あと変身バンクがいくらなんでも長すぎです。前作ジードで約40秒あった変身バンクが、兄弟二人のせいで約一分にまで伸びました! しかもこれにタイプチェンジ時のバンクも存在します。いくら変身アイテム売りたくてもやりすぎですバンナムさん。
 以上により、「特撮面においては比類ないレベルにまで昇華したものの、脚本に問題点を抱えた」作品という評価をせざるを得ません。。どことなくこの評価はウルトラマンXに近いかもしれませんね。しかし脚本に問題点があるにせよ、その特撮技術はスルーするにはあまりにもったいない作品です。ウルトラマンR/B、オススメです。



 以上がウルトラマンの、いわゆるニュージェネレーション作品のレビューになります。ギンガSを除いて、どの作品から入っても大丈夫なものばかりです。気になった作品があったら、是非見てくださいね。

こんなブログ読んでないで一刻も早く「アクタージュ」を読んでくれという話

こち亀が終わって以来、週刊少年ジャンプからしばらく遠ざかっておりました。私のようなおじさんは対象年齢に入っておりませんし、HUNTER X HUNTERはなかなか連載再開されないし、したらしたで理解できない展開が続いているし、まぁいいかな、と思っていたんですが、時間つぶしにジャンプ一冊読む機会があったので読みました。そしたらもうびっくりしました。めちゃくちゃ面白いんですよDrStone! どうして誰もおしえてくれなかったんですか!? あ、あと約束のネバーランドもめっちゃ面白くで先がどうなるかワクワクしています!

 今日おすすめするのはその2つではありません(というか、高評価すぎて今更私がおすすめしたところで……)。今回私が強くおすすめするのは、「アクタージュ act-age」です。
 この漫画、少年漫画には非常に珍しい「演技-舞台」モノの漫画なのです。演劇を題材にした漫画といえば「ガラスの仮面」がありますが、そちらが少女漫画の体を成しているのに対し、アクタージュは非常に少年漫画的アプローチをしかけています。強力なライバルの存在、凄まじい才能を秘めているもののピーキーすぎて自分ですら演技力をコントロールできてない主人公、次から次へと新しい試練が登場し、そのたびに違うライバルが出現し、そして今までのライバルは強敵と書いて親友となるパターンを踏襲しているという代物。しかも「演技力」という要素を分解して描写しており、それらを「表現」「感情」「役の幅」と言った具合に表し、主人公やライバルのパラメータをうまい具合に解説しています。まさしくこの箇所はHUNTER X HUNTER! 
 そしてこの漫画の上手いところは映画や舞台を物語の主軸にしているために、「相手以上の演技パワーを発揮すれば勝ち」というわけではないところです。あくまで「映画の収録、舞台の成功」こそが第一であるというスタンスが通っています。こちらの役柄がモブであるなら、主人公役のライバルの出番を喰うわけにはいきません。その制限化で如何に自分の役を強くみせさせ、かつ同時にライバルの魅力を引き立たせなければならないか……。ジレンマになるところをなんとかしていくのが、この作品の大きな魅力なのです。
 自己の能力を分析し、相手の特性も見定めて、かつ勝利条件を満たしていく…。これは「演技」という題材を元にした、「ジョジョの奇妙な冒険」であるのです。ジョジョは好きですよね? ならアクタージュは読むべきです。読んでしかるべきなのです。

 まだ踏ん切りがつかない? いいでしょう。ほんの少しネタバレします。主人公は初めての撮影のモブ役(時代劇での通行人)するときに、主役に飛び蹴りをぶち込みます。いったい何故か!? それはぜひ漫画を読んで確かめてください。

30代も後半になってきたおじさんがスマブラSPを買った話

 30過ぎて結構経ちました。豊富な人生経験を積んだおかげで、0.13秒で反応できていたビシバシチャンプの早押しが、0.2秒超えるようになりました
 これはもう本気でやばいなと実感する毎日です。FPSをやっても照準を合わせるのが明らかに相手に遅れます。社会人になったころから明らかに真正面での撃ち合いに勝てなくなってきたのがわかるので、思いがけないところにC4設置して敵を爆破したり、アシストに徹したり、相手の裏をかく動きで翻弄してなんとか高キルレートを保持していたのですが、30過ぎたころからもうそれを考えることすらきつくなってきたので、オンラインマッチに参加することはなくなっていきました。PUBG? フォートナイト? 一応やりましたよ。一応。
 

 そんなわけで私がやるゲームはどうしても非リアルタイム性が弱い、SLGやらRPGやらに偏ってしまうわけですが(そんななかでも楽しめたスプラトゥーンは凄いなぁとか思います)、それでもどうしてもスマブラは買ってしまうんですよ。習性的に。なので今回も買いました。スマブラSP

 で、正直後悔することすら覚悟に入っていたんですが、驚きました。めっちゃくちゃ面白いんですよ、スマブラSP。というか、灯火の星が! もうね、衰えが気にならないというか、ここまで再度スマブラに燃えることができることに驚きと嬉しさが同時にやってきたんです。

 今回のスマブラSPには従来のアドベンチャーモードが「灯火の星」というストーリー仕立て(といってもストーリー自体は極薄フレーバーでしかありませんが)で導入されていますが、これがまさしく「がっつり遊べる一人用スマブラ」として稼働しているんですね。

 灯火の星はようするに「それぞれのお題にあわせて、最適な手持ちのコマを探して組み合わせて戦う一人用モード」になっています。ステージが強風ステージなら、強風無効化のスキルを付けていけばいいし、爆弾が降り注ぐステージなら爆風に強いスキルをつけていけばいいのです。最初こそ手持ちのコマが少ないので苦労する羽目になりますが、次第に増えていくと戦略の幅がどんどんと広がっていきます。かつやられてもデメリットはないので簡単に再戦できます。相手がメタル化してる? ならばメタルキラーつけていくぞ! 相手がジャイアント化してる? ならばこっちもジャイアント化で出撃だ!

 かつ、相手のキャラも多彩で(まぁいままでの参戦キャラ全員参加ですし)、そのCPUレベルも多様で、超反応してくるやつもいればアイテムに気を取られてしまう奴もいます。「そんな超反応する奴をどうやって倒すんだよ」と思われるかもしれません。そういう場合、Lv99にさせた相性のいいコマをつけて力でねじ伏せます! スマッシュ一発当たれば相手は消し飛ぶのです! 


 そうです、この灯火の星、今までのストイックな、己の実力がものをいうスマブラの一人用モードとは違い、「いかに事前準備で対策するか」というRPG的要素を組み込んでいるのです。勝てない敵がいてもいいんです。一旦引き返し、コマを成長させてからやり直せばいいんです。成長させる方法も、「戦う」「おやつを投入する」「道場にいかせる」「探索にいかせる」とかなり多様で、Lv99にすることは容易です。

 なお灯火の星は発売から一週間、ほぼ毎日プレイしてプレイ時間は合計20時間を超えましたが、未だクリアしておりません。どれだけあるんだこのボリューム! クリアしてから記事を書こうと思ったんですが、我慢できずに書きました。ごめんなさい。これからやろうとする予定は「灯火の星クリア」と「勝ち上がり乱闘を好きなキャラで制覇」と「スペシャル乱闘とりあえずやってみる」ですが、どれだけ時間があっても足りそうにありません。スマブラのおかげでスマブラをやっている時間がないのです! 任天堂任天堂の邪魔をするのを止めてください!


 なお、この記事を読んで「それじゃスマブラやったことないけど、とりあえずやってみようかな?」と思った人は、まずはyoutube任天堂公式チャンネルから「よゐこスマブラで大乱闘生活」を見てから進んだほうが良いと思います。全く知らない人に対して親切か不親切か、というと、このゲーム結構不親切だと思いますので。

『神ゲー』アクトレイザーについて語ろう

 ファイナルファンタジーシリーズの偉大なる作曲者、植松伸夫は言った。「『アクトレイザー』の楽曲は業界内で一つの"事件"だった」と。スーパーファミコン初期タイトルでありながら、驚くべき音質と楽曲を兼ね備えて現れた『アクトレイザー』は、プレイヤーと業界と、双方に強い衝撃を与えました。もはや異口同音にこのことは語られており、あえて私が深く言及する必要が感じられないので、別方向からのアプローチを行いたいかと思います。今日は巻きでいきますよ! はい、今回のテーマはSFC初期の名作、『アクトレイザー』です!


 このアクトレイザー、主人公である神の分身を操作して、魔物たちを撃破する横スクロールアクションゲームと、天使を操作して人々を魔物から守り街を発展させていくクリエイションモードとの2つで構成されていることは、よく知られているかと思います。有野の挑戦でとりあげられたこともありますし、Wiiバーチャルコンソールでもかなり初期から登場した作品でもあります。元々の知名度も高い作品でありますから、各所ブログにて散々取り上げられたことですし、プレイしたこともある人も多数いる作品です。

 そんな作品でありますから、「今更音楽がいいとか言われてもなぁ」と思う方もおられるかもしれません。なので私はこの度、少し違った視点でこの作品を解説したいかと思います。

 このゲーム、日本においては豊富なイベントが練り込まれたクリエイションモードが評価のポイントであり、独特の操作性を持つアクションモードはどちらかといったらあまり評価されてきた、とは言い難いところがありました。海外ではむしろ逆であり、それが原因で続編アクトレイザー2において、クリエイションモードがなくなったとされています。

 さて、そのアクションモード、具体的にどのようなところが独特の操作感なのでしょうか。ジャンプ後の方向制御は非常に弱く、ダメージを受けた後の無敵時間はかなり短いです。剣を振ったリーチは短めで、しゃがみ攻撃をするときはリーチが伸びますが、隙が大きくなり、かつ上方への攻撃範囲は減ります。横スクロールで先に進んだとしても雑魚敵が消失する、ということがありません。なので「体力ゲージに物を言わせたゴリ押し」戦法は通用しません。そのため必然的に出てきた雑魚敵を逐次的確に倒していくことが求められます。このことに気がつくまでは、やられ放題にやられてしまうので、「高難易度」と呼ばれる原因の一端になっています。

 救済措置としては魔法の存在があり、いずれも強力で、ボス戦に至っては「魔法連発でなんとかなる」というところまで助けてくれます。ところがこの仕様も罠になっており、最後、魔王サタンとの決戦の手前では、今までのボス6戦をくぐらなければならないようになっており、魔法に頼った戦略は途中でガス欠になるという状況に陥ります。必然的にボスのパターンを読み切り、如何にダメージを受けず、的確な処理ができるかを求められるようになります。


 最終的に頼れるのは己自信の力量。自らの操作で神の力を振るい、敵を倒していくのです。


 そして魔王サタンとの決戦なのですが、ここで一つ不可思議なことが起きることを、このゲームを楽しんだプレイヤーは気がつくことでしょう。本来パワーアップアイテムを取らないと出てこない剣の衝撃波が、魔王サタンとの戦いに於いてだけは常時使える状態なのです。このパワーアップアイテム自体非常にレアで、本編通じて一つしか出てこないアイテムでかつ、とても強力です。そんなアイテムを取った状態に、神は自らの意思で自由になることができる、という推察がなりたちます。ではいったいなぜ、神は普段この力を封印しているのでしょうか?

 ストーリーを振り返ってみましょう。神はかつて、魔王サタンとの戦いを続け、その力が拮抗した状態で平和を保っていたのです。しかし魔王サタンは6体のしもべを作り出し、それを連れて神に戦いを挑みました。サタン単体とならば拮抗している力は、6体のしもべの出現によりバランスが崩れ、神は敗れ去りました。敗れ去った神は一時天空城へと戻り、そこで傷ついた体を癒やしながら、数百年の時を得て、魔物に支配されてしまった地上を取り戻すべく戦いに戻るのです。

 まだ力の戻りきらない神は、地上に人々を導き、増やすことで信仰心を得て、かつての力を取り戻していきます(それがクリエイションモードです)。そして最高レベルにまで達したとき、天使はこういうのです。「かみさまは もう じゅうぶん もとの つよさを とりもどしたようですね」と。

 そうです、このゲームでは、最高レベルに達したとしても、それはあくまで「もとのつよさ」が限界なのです。それなのに再び6体のしもべと、魔王サタンとの決戦に趣き、勝利をしなければならない……。神はそのことを知っていたはずです。だからこそあえて自らが振るえる力を制限し、最後の最後、魔王サタンとの決戦まで封印し温存したのでしょう。そしてついにやってきた魔王サタンとの戦いで、はじめてフルパワーの己の力を開放した……。このゲームの裏のストーリーはこういうふうに読み解くことができるのです。

 そしてそれをなし得たのは、もうひとりの存在、プレイヤー自身です。操作性に四苦八苦し、マラーナの触手にもがき苦しみ、魔法を使うタイミングを考えながらサタンへの決戦に向かうプレイヤーのプレイスキルの向上がなければ、神はかつての戦いのように、サタンに敗北してしまったことでしょう。そう、敗北する未来から神を救ったのは、別世界のプレイヤーなのです。プレイヤーの助力により、神は神としてさらに高みの存在へと昇華することができたのです。


 よく「神ゲー」を挙げる話題に本作が(半ば冗談、半ば本気で)語られることがあります。神を操作することができるから神ゲーと。しかしこういったストーリーを組んでゲームを見つめ直すと、アクトレイザーは「人の力をもってして、神を超えることができる神ゲー」といえるのではないでしょうか?

容量と戦った、とある天才ゲームクリエイター -スナッチャー CD-ROMantic-

 皆さん、ファミコンソフト、「ドラゴンクエスト1」の総容量はご存知でしょうか? 64KBです。一時期は「携帯電話の壁紙一枚分」なんて言われたものですが、今や高解像度が進んだスマホでは壁紙にもなりません。ちょっと調べたら私の使ってるPCの、修復インストール用デバックテキストファイル「bootstat.dat」が66KBでした。だいたいそれくらいです。

 この容量とのギリギリの戦いは、名作漫画「ドラゴンクエストへの道」でも描かれています。あまりに容量が少ないために、カタカナのフォントを全部入れることすらできなかった状況下、それでも見事な良質RPGを作り上げた堀井雄二と、中村光一は、まさしく天才の称号を与えられるべきでしょう。

 容量との戦いはその後も続きます。ファミコンメガドライブはカードリッジ、PCエンジンはHuカードと、媒体は違えど毎年容量の増えた新型が投入されるのに、それでもまだ容量が足りない! という状況で開発者は湧き出るアイデアと裏腹に、涙をこらえつつゲームを作っていきました。ドラゴンクエストでいえば1(64KB)→2(128KB)→3(256KB)→4(512KB)と倍々ゲームで増えているのですが、3ではついにOPを削除する羽目になり、最も容量が多い4ですら、容量不足の原因で本来のストーリーから削られた要素が多かったといいます(ピサロが仲間になる、というPS版で追加された要素は元々のファミコン版の構想時点で存在していたという)。



 そんな容量との戦いは、とあるインターフェースユニットの発売によって、一気に転換することになります。皆さんご存知の「CD-ROM」、これが1988年末、PCエンジンの周辺機器として登場しました。1988年発売のドラゴンクエスト3で256KB、対してこのPCエンジンCD-ROM2システムでは540MB、1000倍以上の容量が扱うことができました。これにより、コンシューマゲーム機の容量問題は解決するかに見えました。………はい、見えただけです。とにかくコストがかさむことがCD-ROMの普及を妨げました。何しろ本体とは別に別途合計60000円オーバーのインターフェースユニットを購入する必要があったのですから。即、CD-ROMに移行しようという流れには、ユーザーも、ゲームメーカーもならなかったのです。

 そんな価格面での普及の問題はさておき、開発者側から見てCD-ROMはとても魅力的なものに見えたはず……では、なかったのです。いったいCD-ROMのどこに、問題を感じたのでしょうか? 読み取り速度? バッファメモリ? 確かに問題はそこにもありましたが、大きなものが一つ他にあったのです。そう、「容量」です。

 『お前は何を言っているんだ?』と思われるかもしれません。CD-ROMは当時のカードリッジの1000倍以上の容量があったはずでは? と。そうです。最大の問題は「それだけ容量があると、何にどうやって使って良いのかわからない」状態になってしまったのです。当時の広告ではCD-ROMの容量を「ドラクエ2が1000本入る!」と打ち出しました。なるほど、確かにそれは実現可能でしょう。では一体、だれが1000本分のドラクエ2を作るのでしょうか? 堀井雄二中村光一という天才二人が一年間取り掛かって出来上がったのがドラクエ2です。それを1000本分…となると、想像を絶する開発規模になることが目に見えています。

 しかしそんなCD-ROMの弱点を、すぐに(主にハドソンの)開発陣が克服していきます。CD-ROMの大容量を活かすために、音楽を生音源で録音しました。画像取り込みで実写も使えます。声優の声を長時間録音することも可能です。アイドルとバーチャルデートするゲームが出来上がり、面クリア時にムービー再生が入るアクションゲームが出来上がり、そして、声優がキャラを演じ、坂本龍一がメインテーマをかきあげたRPG天外魔境」で、その容量問題の一つの答えが出ました。グラフィックと、音楽と、音声とが、急角度で進化したのです。

 そしてそれは同時に開発者にとってまた新たな問題を出されたことと同じでありました。「このなんでもできる大容量のCD-ROMで、己のセンスを表現する」ということです。グラフィックと、音楽と、音声と、シナリオと、ゲームデザインと、ありとあらゆるところでセンスが問われるようになりました。なんでもできるCD-ROMはプレイヤーに夢と驚きを与えました。それと同時に、厳しい選定眼をプレイヤーに与えてしまったのです。


 開発者たちはCD-ROMという大容量に戦いを挑みました。苦しめられた開発者も多かった中(そうして出来上がったゲームは、今度はプレイヤーを苦しめました)、飛び抜けた才能を持つ人らのそれが、名作として世に登場しました。ゼロヨンチャンプ2がそれでありますし、今回語るゲームである、スナッチャーCD-ROMantic-も、そうであります。スナッチャーの開発者は小島秀夫。そう、後にメタルギアソリッドシリーズで世界に名を轟かせる、小島監督です。



 さて、PCエンジンスナッチャーの解説を始める前に、この「スナッチャー」という作品自体の解説が必要になります。元々はPC88やMSX2で発売されたアドベンチャーゲームです。いくつかあるコマンドを選択し、人と会話をしたり、場所を調べたりして、いつの間にか人とすり替わるバイオロイド、スナッチャーの正体を暴くため戦いを挑む、サイバーパンク・アドベンチャーで、近未来でスタイリッシュな場所と、みすぼらしい人たちでごった返すスラムとが同居している独特の世界観(小島監督ブレードランナーから影響を受けた、と明言しています)が売りで、スナッチャーとは一体何者なのか、そしていったいどこから現れるのか、眼の前にいる人間は本当に人間なのか…。奴らの正体の謎を解き、そして記憶喪失の主人公ギリアン・シード、彼自身の謎も解いていく、というゲームです。

 そうしたハードな雰囲気とは裏腹に、主人公ギリアンは意外に饒舌家で、相棒であるメタルギアMKⅡ(MGS4に出てきた同名のそれと似てる、AI搭載のミニロボットです)とボケとツッコミのかけあいをしてプレイヤーを楽しませてくれます。基本的に昔のアドベンチャーゲームらしさの、コマンド総当たりで物語が進んでいくのですが、とにかく会話のパターンが豊富で、飽きることがありません。なにもないところでも、なにか新しい会話が出てくるのではないか? とプレイヤーに思わせ、さらに探らせようとしたくなる仕掛けとなって作用しています。個人的には自宅でトイレに入ると便座機能で体調確認ができるので、それを使ってみようとするギリアンと、結果にメタルギアが驚き、「どうしたメタル!?」→『死ぬほど健康です』という掛け合いをするのがツボにはまりました。


そんなスナッチャーなのですが、PC88やMSX2というパソコンで発売するにあたって問題が生じました。そう、容量問題です。小島監督の本来出すべき構想ではあまりにボリュームが多すぎて、会社からの承認が得ることができませんでした。PC88ではフロッピー5枚組、MSX2版でも3枚組という多さでも、本来Act5まであった構想は大幅に削られ、Act1と2のみ、という未完成品として発売されました。そして後半もあまりに長くなった開発期間により、会社から打ち切りの指示がくだされてしまったのです。物語としては一つの山場を迎えることはできたものの、スナッチャーの正体やそれを作り出した犯人は謎のまま、ストーリーは終わってしまいました。

 小島監督ら、開発陣は強い無念を抱いていたと後に語っており、その後にMSX2にて「SDスナッチャー」が発売されることになりました。これはAct3の要素を組み込んだリメイク作品で、これによってようやくストーリーは完結する流れになりましたが、これはアドベンチャーゲームではなく、RPGとして仕上がっています。従来のアドベンチャーでは、どうやっても容量問題が邪魔をして完全版が作れなかったのだろうと思います。

 そして、SDスナッチャーから二年の1992年、ようやく普及しはじめてきたPCエンジンCD-ROM2にて、スナッチャーCD-ROManticは発売されました。名前の通り、CD-ROMであることを売りにし、その大容量を存分に使った作品に仕立ててきました。容量問題はCD-ROMにより解決しました。しかしその反対の問題点、「大容量すぎる容量をいかにして駆使するか?」に対して、小島監督はどう立ち向かったのでしょうか? 実際のOPを見ながら小島監督の答えを聞いてみましょう。

 
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 開幕の注意書き、そして挑戦状とも思える字幕、続く声優によるナレーションとアニメーション。歴史を語る流れが次第に謎の侵略者スナッチャーのことへと変わっていき、不可思議な存在、スナッチャーの謎と恐怖を掻き立て、タイトルロゴの登場。そしてそこからオープニングテーマが始まり、スタッフロールの後、主人公ギリアン・シードの話へと焦点が合っていく……。元々のPC88版でも似たような構成になっていたのですが、PCエンジン版ではCD-ROMの大容量を活かした演出の強化がなされています。映画的手法を導入した初の作品として、このスナッチャーは挙げられることが多いのですが、PCエンジン版で強化された結果、映画的手法を超え、まさしく映画同等の演出を得ることができたといえるでしょう。プレイヤーは、これにより完全に心を掴まえられるのでした。

 小島監督のセンスはそれに留まりません。そこまでしてがっちり掴んだプレイヤーの心を、今度は振りほどくような真似をします。背景にあるのはパチンコの「パ」の字が消えているネオン(実はヒントにもなっている)。流れているCMに書いてある電話番号にかけると実際にかかったり(もちろん本編と全く関係はない)、スーパーコンピュータ、ガウディの検索機能を使ってスタッフの名前を検索するといろいろと出てきたりと、本格的サイバーパンク世界観に酔いしれながらも、一方で小島監督の遊び心溢れた脇道を楽しむことができるという体験ができるようになっています。CD-ROMにしたおかげで容量はあまりに余っています。こういった脇道的オマケ要素はPC88、MSX2版よりも大幅強化されました。スタッフの奥さんのDNAの本数を聞いてくるクイズも搭載されています。

 そして何より容量増加の恩恵を受けたのはやはりAct3の存在でしょう。Act3ではすべての謎が解かれ、スナッチャーとは何者なのか、誰がそれを作り上げたのかが解明されます。(Act4と5はこれ以後の、エピローグ的要素だ、との事)。主人公ギリアンと相棒メタルギアMK2が首謀者のいる場所へと乗り込み、陰謀を阻止しようとしたところで繰り広げられるのは、なんと首謀者本人による20分に及ぶ独白! そこからエンディングまで、ノンストップで独白+ムービーは流れ続けるのです。

 ゲームというのは双方向性があってこそのものだ。20分コントローラーを操作する必要がないゲームなど、果たしてゲームといえるのか? 映画ではないのか? こういった批判は当時でもありました。しかし考えてください。ゲームというものは、プレイヤーに驚きをもたらしてこそです。最後の最後でゲームが映画になったこと自体が、驚きではなくてなんでしょうか。OPの五分の映画的手法でがっしりと心を掴まれたことを、エンディングで再現したわけです。映画から始まったゲームは、最後、映画として幕を閉じたのです。そのダイナミックな動きこそ、まさしくゲームではないでしょうか。そしてそれを実現したのは、CD-ROMという媒体と、小島監督の持ち得る卓筆したセンスの合わせ技でした。



 最後になりますが、「小島監督」と呼ぶことに触れなければならないと思います。この呼称に忌避感がある人もいるかと思います。「ゲームを作ってる人は映画監督ではない」という批判もあり得ると思います。しかし私はあえて、小島秀夫という人物には「監督」が付くことになんの問題もない、と主張したいです。ゲームと映画を結びつけた、最初の人物なのですから。小島監督は間違いなく、卓越したセンスを持つ天才ゲームクリエイターです。その彼が生み出したセンスの結晶体、スナッチャー-CD-ROMantic、ぜひ皆さんプレイしてみてください。